きのこ、食・毒の簡単な見分け方・・・! |
◆そんなものはありません! 昔からの言い伝えを鵜呑みに信じている人が、今でもまだたくさんいるようです。まったく自殺行為と言わざるを得ませんが、タチの悪いことにそういう人は、自信を持って他の人にも勧めるようです。ま、本人が食べて中毒する分には自業自得だと言えますが、トバッチリ中毒なんて願い下げにしたいものです。 ◆言い伝えの類はほとんどウソ! よく耳にする、昔からの言い伝えのような見分け方は、そのほとんどが間違いです。例をいくつか挙げてみると・・・ @ 地味なきのこは食、派手なきのこは毒・・・× あなたはどっちを食べますか? A 柄が縦に裂けるきのこは食べられる・・・・・× 毒きのこのほとんどが縦に裂けます。 B 虫やナメクジがつくきのこは食べられる・× 彼らは猛毒きのこを平気で食べてます。 C ナスと一緒に料理すれば毒が消える・・・・・× 誰が言い出したのかこんな大うそ。 D 食べられるきのこはいい臭いがする・・・・・× 毒きのこでもいい臭いがします。 E 煮汁で銀のさじが黒くなれば毒・・・・・・・・・× 欧州の言い伝え。科学的根拠ナシ。 などなど、他にもたくさんあるようですが、そのほとんどは何の根拠もない大うそです。前にこんな実際にあった話を聞いたことがあります。 ある主婦が近所の里山で、おいしそうなきのこを採ってきたが名前が分からない。 @いい臭いがして、A色が地味で、B柄が縦に裂ける。間違いなく食べられると思ったが、やはり不安なので念には念を入れて、Cナスと一緒に料理して食べた。 結果、ものの見事に中毒。きのこはカキシメジだったらしいのですが、だいたいCのナスが正しいのなら他の判定方法なんか不必要でしょう。 ◆毒きのこの正しい知識 このように、きのこの毒について知っておかなければならないことは、「言い伝えの類はウソが多い」こと、「毒きのこに共通する特徴は何もない」こと、そして、「猛毒のきのこは近所の公園や里山にも生える」ということです。 正確に食毒を見分けるには、それぞれのきのこを正確に同定するしかないのです。ところが、きのこは、地域、生える場所、気温や天候などによって、大きくその姿を変えることがあります。常にきのこを見続けているベテランの人でも、その変異の幅を知り尽くしているわけではありません。 ◆安全なきのこ狩りとは・・・ では、安心しておいしいきのこを食べるにはどうすればいいのでしょう。 私がお勧めできる方法は2つです。まず1つは「おいしくて、見つけやすくて、見分けやすい」という、3拍子そろったきのこだけをシッカリ覚えて、それ以外のきのこを食べないようにすることです。例えば、前出のタマゴタケや、ナラタケ、ハツタケなどです。少し慣れるとヒラタケ、チチタケ、ハルシメジ、ハタケシメジなども加えることができるでしょう。また、キクラゲやアラゲキクラゲは初心者でも間違える心配がなく、とても安全なきのこだと言えます。 もう1つは、必ず「きのこに詳しい人と一緒に行く」ことです。採ってきたきのこを後で見てもらってもいいのですが、きのこは時間が経つと傷んで同定が難しい場合があります。写真で見てもらうのはもっと危険だし、ましてや、電話で尋ねるなんていうことは絶対やめましょう。 とは言っても、そんなベテランきのこ屋さんを見つけることはきのこ探しより難しいかもしれません。そういう場合は地域の「きのこ同好会」に入会するのがいいと思います。 ◆命を賭けるほどの価値? 猛毒きのこによる中毒事例を読むと、悲惨としか言いようのないむごいものです。内臓組織、特に肝臓や腎臓が破壊されるため手の施しようがなく、数日間もがき苦しみながら死に至るのだそうです。 こんなことと引き換えにしたいほど美味なきのこがあるわけでなし、不安な気持ちで食べるのなら、どんなきのこもおいしくはないでしょう。安易な試食は決して「勇気ある行動」などではなく、「無謀な愚行」だと言わざるを得ません。 私には、命を賭けるほどの価値があることとはとても思えません。 |