生き物のいない星・・・地球!

■あと70年で?

 今年10月に名古屋で開催される「COP10」。国連生物多様性条約第10回締約国会議という、まるで暗号文のような難しい名前だが、要するに増え続ける「絶滅危惧種」を地球規模で何とかしようという有意義な会合だ。
 それを前に条約事務局が、先日とてもショッキングなデータを発表した。
 1970年からの36年間で、野生の脊椎動物の総個体数の3分の1が消滅したというのだ。哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、そして魚類が含まれる。そしてさらに、その傾向は続いているという。
 つまり、きわめて大雑把に言ってしまえば、あと70年もすれば地球上に脊椎動物がいなくなるということか?まさか、そんなことにはならないだろう・・・と思ったとき、ふと、あることに気付いた。


■独りぼっち
 この太陽系にある他の惑星やその衛星の、どこを探してみても一匹の生き物どころか生命が誕生した痕跡すら見つかっていない。この地球がそれら他の星ぼしと同じようになってしまわないと、どうして言えるだろう。
 さらに、果てしない宇宙に目を向けてみても、どんな高性能な天体望遠鏡で眺めても、どんな大規模なパラボラアンテナで耳を澄ませても、他の恒星系からは何らかの意味のある映像や電波を捉えることができていない。
 この地球上にひしめく無数のいのちも、ひょっとすると宇宙の中では独りぼっちなのかも知れない。

■奇跡の星
 このかけがえのない地球に生命が生きていられるのは、どういう仕組みがあるのだろう。太陽からのちょうど良い距離。適量の酸素を含んだ空気と、豊富な水の循環。それらをはじめ、数え切れないほどの幸運な条件が絡み合って、偶然の積み重ねの上に今の地球があり、そこに生き物が棲んでいる。
 日本の実験棟「きぼう」がある国際宇宙ステーション(ISS)の軌道の高度を聞いて驚いた。およそ400キロメートルの高さを回っているというのだ。400キロメートルといえば、ほぼ東京〜大阪間の距離だ。つまり、地球儀で言えばその表面から東京〜大阪の距離だけ離れると、もうそこは空気のない宇宙空間ということになる。
 そんなわずかな、薄皮一枚で守られている地球上に、すべての生命が育まれ、すべての営みが続けられてきた。しかし、ここへ来ていのちの数は減少を始めたようだ。野生の脊椎動物の個体数が急激に減っている原因は、逆に増え続けているヒトの仕業に他ならない。
 多くの生き物を「絶滅」へと追いやったホモサピエンスもまた、いずれ「絶滅危惧種」の仲間入りをすることになるのではないだろうか。いや、決して刹那的な悲観論を唱えているのではない。今ならまだ、正しい方向へ舵を切れば間に合うと信じたいのだ。
 この奇跡の星「地球」で共に生きる仲間たちを絶滅させてしまうのが人間なら、彼らを絶滅から救えるのもまた、われわれ人間だけだと信じたい。どこかの誰かが頑張ってできることではない。みんなが同じ思いを持った時に、きっと大きな力となって正しく舵を切るのだろう。

 きのこの話題ではないが、全く無関係でもない。心に刻み込んでおきたいと思いつぶやいてみた。

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