G12で金環日食を撮る
 
◆あまのじゃく
 B型の悪い癖・・・と言ってしまえば同型の皆さんにお叱りを受けるだろうが、世間が大騒ぎして同じ方を向くと、「大して興味はないョ」とばかりにソッポを向く「あまのじゃく」の性格がある。
 そんな訳で昨日の稀有な天体ショー「金環日食」も、遮光メガネを買うこともなく、若い頃のように写真に収めようとも思わなかった。
 しかも、天気予報では近畿は曇り。「みんな残念がるだろうな」と思っていた。

◆寝ぼけまなこで
 ところが、なぜかふと6時ごろに目を覚まし、窓の方を見ると日が差している。「晴れてよかったね・・・」と思いながら、頭の中である策略がうごめき始めた。CanonG12にはND(減光)フィルターが内蔵されているから、ISO感度を最低の80にして、撮影モードはマニュアルで最速シャッターと最大絞り値で、さらに補正を−2にすれば撮れるのではないか。
 そして7時20分ごろ、寝ぼけまなこでパジャマのまま、カメラを片手にベランダへ出た。チラッと太陽を見ると、すでに三日月形になっている。うす雲がかかっているので肉眼でも大してまぶしくない。これは好都合だ。
 約2分おきにシャッターを切っていき、金環になってからは30秒おきくらいに撮り続けた。雲の濃淡や色の具合が、期待以上にいい雰囲気になってくれた。下の写真は奈良県でのほぼ最大食に近い瞬間だと思う。

平成24年(2012)5月21日 午前7時32分32秒
◆本当は一直線ではない
 ところで、「あまのじゃく」ついでに、マスコミなどがあまり触れていない面白い事実を書いておこうと思う。皆既日食や今回のような金環日食の場合、太陽と月と地球が一直線上に並んで起こる現象だと表現される。
 しかし、厳密に言うとそれは間違いである。地球から月までの距離は約38万kmだから、光(影)は1.5秒ほどで届くが、太陽の光は地球に届くまでに8分20秒かかるのだ。つまり、一直線に並んで見えるのは単なる見かけであって、実際の太陽の位置はすでに8分20秒ぶん先にずれていることになる。
 まあそれは「野暮な屁理屈」であって、金環日食のドラマチックな感動をなんら損なうものではない。
 
※これはきのこの話題ではないが、思いのほか「G12」で手応えのある写真が撮れたので、載せておきたくなった。
2012.5.22   竹 しんじ

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