きのこ探して
今日はどこまで行ったやら･･･

２００２年
6月

２００２

２００２年６月３０日(日)のオリーブ色不明菌の続報富士山・西臼塚	富士山南麓の西臼塚で撮ったオリーブ色の不明菌について、神奈川キノコの会の山口さん（ＨＰ：キノコのホームページ）から「コガネヌメリタケ」だろうとのメールをいただいた。私の持つ図鑑では唯一、「新菌類図鑑Ⅰ」に名前だけが載っている。　キシメジ科クヌギタケ属が正解だったことにたいへん満足しているが、もっと丁寧に撮影しなかったことは非常に悔やまれる。ことにヒダの赤いフチドリをクローズアップしなかったのは残念でならない。再度、見つけることができるだろうか。
２００２年６月３０日(日）富士山北麓・南麓山梨県・静岡県	週末は関東の広い範囲で雨という予報だったので、どこへ行っても雨ならいっそのこと富士山へ行こうと決めて、２９日(土)夜から出発して車でビバークすることにした。雨音がうるさくて寝付けなかったが、朝５時に今度はウグイスとカッコウの合唱がうるさくて目が覚めた。なんと雨が止んでいるばかりか、陽が射して青空まで見えているではないか。いい写真が撮れそうだ。　まずは北麓の創造の森へ。きれいな芝生の広場に、新鮮なオオホウライタケが出ていた。今まであまりきれいな状態を撮れてないので、何カットも撮影する。カラマツの根元にはヒロヒダタケも見られた。霧の林を背景にいいのが撮れたのでＧａｌｌｅrｙコーナーに入れることにする。　次は南麓の西臼塚へ移動。雨の後なので苔の色が鮮やかだ。そこにキララタケの群生。思わずクローズアップを何枚も撮る。さらにイヌセンボンタケの大群生。いったい何本あるんだろう。これもクローズアップで映えるきのこだ。どちらもヒトヨタケ科なので、きれいな状態の時間は短い。　ブナの多い広場に大きなチャワンタケが出ていた。内側に藤色が見えるのでフジイロチャワンタケモドキだろうか。それにしては直系５～６センチもあるので大きすぎるが、きのこの大きさはあまり種の同定の決め手にならない。たいへんきれいな状態だ。肉はたいへんもろくて、触るとすぐに砕けてしまう。　倒木から出ているオリーブ色のきのこを見つけたが、名前が分からない。キシメジ科クヌギタケ属だろうと思うが、良く見るとヒダにきれいな赤いフチドリが見える。今まで見たことがないきのこで、図鑑にも見当たらない。カサの直径は大きくても２５ミリ。全体にヌメリがあるように見えるが、雨のせいなのかも知れない。　さらに高鉢へ移って、ナラタケの多く出るコースを歩いてみると、大きなヒロメノトガリアミガサタケが出ていた。初めて見るきのこで、高さは２０センチ以上もある。肉の厚みは２ミリほどしかなく、中は空洞という変なきのこだ。後はきれいなヒラタケと、やはり出ていたナラタケ。この２種は美味しいきのこなので採取もすることにした。　帰り支度を始める頃、また濃い霧が立ちこめ、雨も降り出した。なんとも幸運な１日だった。半ばヤケ気味に富士山を選んだのだが・・・。








２００２年６月２３日(日) 鎌倉・六国見山神奈川県鎌倉市「神奈川キノコの会行事」	鎌倉市の六国見山は標高１４７ｍ余りの低い山だが、散策路がほとんどヤブコギに近い状態だったりでなかなか手強いコースだった。針葉樹が多いせいもあってきのこの種類は多いとは言えないが、今日は不思議なきのこがたくさん見られた。　スギの樹下、笹の多い土手に、白い小さなきのこを発見。全体が厚く粉に覆われていて、ハラタケ科のキツネノカラカサ属のきのこらしい。コナカラカサタケモドキだと思うがカサの周縁にツバの破片がなく、触れるとすぐに赤変するので違うような気もする。　ミミブサタケが見つけられた。以前からぜひ写真を撮りたいと思っていた１種だ。ウサギの耳を束ねたような面白い形で、シッカリした重量感のあるきのこだ。　苔の生えた土手から紫色のきのこが出ている。カサの直径約１８ミリで、カサも柄も、そしてヒダまでがきれいな紫色だ。ルーペで見ると全体が紫の微毛で覆われている。検鏡しない限り何科なのかすら分からない。　落ち枝に細長い透明なきのこが出ている。根元を見るとまるで吸盤で枝にくっついているように見える。その名もキュウバンタケだ。薄暗い中で極小の白いきのこを撮影することは、おそらくきのこ写真の中でもっとも難度の高いことだと思う。撮影のヘタさを思い知らされてしまう。　枝から生えたサカズキ状のきのこも名前が分からなかったが、図鑑をよく見ていくとサカズキホウライタケによく似ていることが分かった。ヒダが激しく脈でつながっている。　最後に鑑定場所に持ち込まれたきのこは、まさに「ドキッと」するきのこだ。竹やぶの中の地上に生えていたらしいが、カサがサカズキ状になり周縁はギザギザに入り組み、何かの花のように見える。そしてなんとカサの裏は針になっている。柄は褐色でかなり強靭。カサ裏が針のきのこはいくつかの科があるが、そのどこに入るのかも分からない。　初めて見るきのこが多く、しかも珍しい種類がこんなに見られた日は初めてだ。





２００２年６月２２日(土) 高麗山・地獄沢神奈川県大磯町	去年のちょうど今ごろ、高麗山の男坂でピンク色のベニサラタケを見つけて、ニクウスベニサラタケという仮称となった。もう出ているのでは･･･と来てみたが残念ながら見当たらない。ぜひもう一度出会いたいきのこだ。　今ごろの高麗山はハイイロイタチタケがいっぱい出ている。秋にももう一度ピークがあるようだ。明るい灰色の繊維状のカサは、乾いているときの方がきれいに見える。近くの沢沿いの倒木には、ムササビタケが群生していた。どちらもヒトヨタケ科ナヨタケ属のきのこで、里山でよく見かける仲間だ。　オリーブサカズキタケもいくつも出ていた。以前はヒダサカズキタケと思っていたきのこで、形は確かによく似ている。カサの表面がオリーブ緑色で柄が長い。正確なヒダサカズキの写真が図鑑にないので、区別が難しい。　もう１種、区別のはっきりしないきのこがこのシロキツネノサカズキ。春から出始めて色が薄いタイプは、シロキツネノサカズキモドキだそうで、胞子が大きいので検鏡すれば同定は簡単らしいが、私には見分けがつかない。最近、きのこの色と大きさは、同定の決め手にならないと思うようになったので、この２種も見分けられない。　カサの白い大きなベニタケを見つけた。ヒダを見るとかなり粗く、こんなにヒダの少ないのはシロハツでもシロハツモドキでもなさそうだ。傷つけても乳液は出ない。撮影後に切ってみたら、見る見る赤く変色した。これはどうやらクロハツだと思うが、こんな白いクロハツがあるのだろうか。そう言えばこのあたりは、クロハツが群生して、そこからヤグラタケもたくさん出る所だ。




２００２年６月１６日(日) びわ青少年の家神奈川県平塚市	そろそろベニタケ科やイグチ科が期待できそうなので、びわの森へ行ってみた。雨が多かったのに意外にもきのこが少ない。ヒョウモンウラベニガサの出る朽木も、もう腐朽が進みすぎたのか全く出なくなった。　ハリガネオチバタケが多く見られた。明るい褐色の小さなきのこでヒダの数が極めて少ない。そのすぐそばで、スギの倒木から大きなヒロヒダタケが出ていた。カサが大きく開いても、ヒダはまぶしいほど白い。図鑑では広葉樹に出ることになっているが・・・。　鮮やかなオレンジ色のきのこが落ち枝から出ている。これはよく撮影するダイダイガサだ。今回はカサのトゲトゲと、超ローアングルを撮ってみた。　薄暗い茂みの中でスミゾメヤマイグチを見つけた。この色のきのこを、我ながら良く見つけたものだと自己満足。まだ管孔の汚れていない、きれいな状態だった。この森ではこれから、スミゾメヤマイグチと普通のヤマイグチが見られるだろう。さらにアメリカウラベニイロガワリも混じるので、梅雨明け頃が楽しみだ。　少し開けた草地に、アセタケ属のきのこを発見。カサが尖って、きれいな褐色をしている。やや小ぶりなので、これがキヌハダトマヤタケかと思ったが、根元が株状にふくらんでいないことや、柄に繊維模様があるので、オオキヌハダトマヤタケで良さそうだ。においはほとんどなかった。　最後にようやくイヌシデの近くで、ヒロハシデチチタケを見つけた。傷つけると白い乳液を出し、猛烈に辛くてしばらく味覚が麻痺するほどだ。　一雨ごとにきのこの種類が移り変わっていくので、楽しみな季節になった。





２００２年６月１５日(土) 寄(ﾔﾄﾞﾘｷ)水源林神奈川県松田町	ちょうど１年前、キヌガサタケの撮影準備に余念がなかったが、今年も気になって寄り道をしてチェック。大磯町のポイントでは幼菌を１個だけ見つけられた。今年は少ないのだろうか。　寄(ﾔﾄﾞﾘｷ)水源林の広葉樹林コースを選んだつもりだったが、広葉樹はわずかしかなくスギ・ヒノキがほとんどで、きのこの種類が少ない。　スギの切り株に丸く苔が生えている。そしてそこに１本のきのこ。ウラベニガサだろうとヒダを見ると、くっきりと縁どりがある。これがクロフチシカタケなのだろうか。カサの表面はウラベニガサに似ている。　スギの切り株からは他にアシグロホウライタケが多く出ていた。ヒダが疎で激しく脈連絡している。大きさは直径５～１５ミリの小さなきのこで、カサも紙のように薄い。　散策路をほぼ登りつめた所で、やっと大き目のきのこが目に飛び込んできた。かさ全体に褐色のササクレがあり、柄は白くて太い。ハラタケ科まではすぐ分かったが、ザラエノハラタケにしては柄が滑らかで、オニタケにしてはササクレがシッカリしている。どうやらザラエノハラタケの方だろう。　帰路、土手になにやら赤いきのこを発見。土からヒイロタケは出ないはずと、裏面を見ると針になっている。形はあまりよくないが、初めて見るアケボノハリタケだ。周囲を探したが、他には見つからなかった。　雨後のヒノキ林はフィトンチッドの香りがむせるように強く、いい森林浴ができたのではないだろうか。




２００２年６月９日(日) 飯山観音神奈川県厚木市	新しいポイントを開拓しようと宮ケ瀬ダム湖近辺の山へ行ってみたが、ここは雨が降ってなかったようで尾根筋はどこも乾いていた。付近の沢コースとしては行き慣れた飯山観音があるので、急きょ探索ポイントを変更した。　チャヒラタケやクリゲノチャヒラタケが多く出ていた。両種とも大きく成長すると激しく反り返って、木に密着してヒダだけが見える時がある。　イヌセンボンタケが出始めた。新しい時は全体が白く、クローズアップで撮るとなかなか美しい。１～２日後には真っ黒に溶けてしまう短命なきのこだ。　すぐ横にまた、真っ赤な極小きのこ。前回よりさらに小さなヒイロベニヒダタケだ。幼菌の方は虫ピンの頭ほどもない。　カサの表面に白い鱗片をちりばめた、高さ４センチほどのきのこを見つけたが、種名が分からない。多分ヒトヨタケ科ナヨタケ属だと思うが、今までに見たことがない。新菌類図鑑によるとヒメイタチタケの記述が近いが、図版がないのではっきりとは分からない。カサ表面の色がきれいな栗色で、鱗片はシッカリ付いている。カサの周縁には黒い縁どりが見られるが、ヒダを覆う皮膜の名残だろうか。



２００２年６月８日(土) ふじあざみライン静岡県小山町	最高気温が３０℃を超えるようになったので、もう富士山にもきのこが出始める頃だろう。２日前に雨が降ったらしい東麓の「ふじあざみライン」を登ってみた。いきなり「ドキッと看板」が目に飛び込んできた。　最初に入った森はモミが多く、ハンノキやカバノキが混じる雑木林で、目立ったきのこは見つけられなかった。苔の間の小さな落ち枝から、極小の赤いきのこを見つけた。ベニカノアシタケのようだ。超クローズアップでもこの程度。カサの直径は１～２ミリで開いても５ミリまで。開くと色が薄くなってしまう。　ふと目を上げると、立ち枯れの幹にきれいなきのこが生えている。てっきりヌメリスギタケモドキだと思い、急いで撮影を始めたが、カサの鱗片が細かすぎてヌメリもまったく無い。裂いてみると肉が鮮やかな黄色。そしてかじってみると舌が痺れるほど苦い。オオワライタケだった。すぐ後で少し傷んだヌメリスギタケモドキもあったが、一見するとたいへんよく似ている。　二合目（約１，０００ｍ）付近を探すと、もうイグチやベニタケの仲間も出始めていた。倒木に小さなきのこがいっぱい出ていて、よく見るとカサは独特の赤紫色で柄に粒点があるので、これはきっとチシオタケなのだろう。並んだ幼菌が何とも愉快な表情をしている。　カラマツの森で苔の地面から、シッカリしたシメジ型きのこが出ていた。カサも柄も全体が細かくささくれて、柄の根元が太くなっている。カラマツシメジだと思うのだが、こんな季節にも生えるのだろうか。　車に戻って帰り支度をしていると、足元の草むらに白っぽいきのこを発見。カサに強い粘性がある。鱗片がほとんど無いが~~シロナメツムタケ~~でいいのだろう。キナメツムタケとの色の境目がハッキリしないが、これはかなり白いので間違いないだろう。※ザラミノシメジ属と思われる。　手応えのあるいいシーズンになってきた。･･･が、「毒きのこにご注意」だ。





２００２年６月７日(金) ツチスギタケについて続報山渓フィールドブックス 2002/6改訂版について	５月２６日(日)の高麗山で「キツネノカラカサ属？」として掲載した写真は、やはりツチスギタケで良かったようだ。すでにお気づきの方も多いと思うが、きのこ図鑑に掲載のツチスギタケには、はっきりタイプの異なる２種がある。　幸運にも両方のタイプを撮影できたので、疑問に思って検鏡していただいたところ、ようやくモヤモヤしていたものが晴れた。　もう１つのタイプは昨年(２００１年)の１１月２５日、新治市民の森で見つけたもので、山渓の「日本のきのこ」及び「フィールドブック版」によりツチスギタケで掲載した。　ところが、近年発行の各種図鑑に掲載のツチスギタケは、どうも別種のように見える。そんな折、高麗山でそのタイプのきのこを見つけた。　結局、山渓に掲載のきのこはツチスギタケではないようで、地上に生えたスギタケらしいということである。あるいは埋もれ木からの発生かもしれないが、明らかにツチスギタケとは異なるようだ。　他にもクロフチシカタケの図版が違っているなど、早く改訂版が発行されることを期待している。　＊驚いたことに「フィールドブックス版」は２００２年６月に増刷されていた。中を見ると≪クロフチシカタケ≫の図版が変更され、さらに≪ツチスギタケ≫だった写真が、材上生か地上生かの良く分からない図版に変更され、種名が≪スギタケ≫へと改められていた。　それ以外の改訂があったかどうかは気づかなかったが、ひとまずは問題の２箇所は改められた。ただ、惜しむらくは≪クロフチシカタケ≫が生態写真ではなく標本であることと、≪スギタケ≫に変更されたのに索引では≪ツチスギタケ≫のままであることである。

２００２年６月２日(日) 新治市民の森神奈川県横浜市	新治の森での「定点観測」だが、ここ１～２週間は雨も降ったほうなのにまだきのこが少ない。昨年同様きのこの少ない状態が続くのだろうか。　スギの間伐材からミドリスギタケが群生していた。カサ表面が乾いていると同定しやすいきのこだが、全体が湿っていると橙色が鮮やかで別種に見えてしまう。幼菌から老菌までそろった群生で、いい勉強になった。　なにやら赤い塊が見つかり、よく見るとイチゴのように粒が集まっている。変形菌（粘菌）のクダホコリだろう。変形菌には不気味なものも多いが、色鮮やかで絵になるものも少なくない。ただ、今は分類学的には真菌類と離れているようなので、当ＨＰにとってはカテゴリー外ということになる。　今日は小型のイタチタケが多く見られた。いつも幼菌を撮ることが多いので今回はカサをいっぱいに開いた成菌を撮った。ヒダが灰褐色になった状態もなかなか美しい。　夕方遅くになってコナラ林の所を探索すると、ずい分柄の太いシメジ属のような幼菌が見つかった。ヒダも良く見えず、これといった特徴もないのでみんな同定に苦しんでいたが、Ｗ女史が強い粉臭があることを発見。ムレオオイチョウタケなのだろう。カサが開いた状態しか見てないと、なかなか幼菌の同定ができないものだ。わずかな手がかりで推理する、ゲーム感覚も面白い。



２００２年６月１日(土) 県立自然保護センター神奈川県厚木市七沢	天気の移り変わりが激しく、沖縄ではすでに梅雨に入ったとのこと。いよいよきのこの種類が増え始める季節だ。久しぶりに七沢の県立自然保護センターへ行ってみた。　緑鮮やかな苔の間から、オレンジ色のヒナノヒガサが出ている。高さが２センチほどの小さなきのこだが、アップに耐えるきれいさがある。　落ち枝に今年もシロキツネノサカズキが並んでいる。こちらもフォトジェニックなきのこだ。　この時期はウラベニガサ科のきのこが多く見られる。まずはご本家、ウラベニガサのきれいな幼菌。カサの色が濃く、柄もヒダもまだ真っ白だった。続いてはカサヒダタケ。カサの上の隆起は何のためにあるのだろうか？　今日最も多く見かけたのは、鮮やかな赤が印象的なヒイロベニヒダタケ。深い緑に包まれて幼菌と並んだいい写真が撮れたので、Ｇａｌｌｅｒｙに入れることにした。ＮＥＷデジカメ初のＧａｌｌｅｒｙだ。　旧デジカメに比べると、ＣＯＯＬＰＩＸ５０００はややコントラストが強いようだ。バックが明るいとたいへん撮りづらい。光のコントロールがなかなか手強いカメラだと思う。特に今日のような晴天の日は木漏れ日が強く、暗い場所でのローアングルはたいへん苦労する。