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ツクツクホウシセミタケの発見
2003年は雨が多かったせいか冬虫夏草を数回見つけました。その中に発生が非常に稀で日本で3例目になるツクツクホウシセミタケがあったので特集しました。


ツクツクホウシセミタケとは
 

 ツクツクホウシの幼虫から出る冬中夏草で、子実体に白い粉状の塊(分生子塊)が付かずツブ状の子嚢果になるのが、完全世代のツクツクホウシセミタケで、発生は非常に稀だそうです。

(ハナサナギタケの完全世代型がウスキサナギタケであるよううに。ツクツクホウシタケの完全世代型が、ツクツクホウシセミタケです。)

左1本がツクツクホウシタケ
右2本がツクツクホウシセミタケ 

※共存タイプもあります。




発生概要

発見年月日

2003年08月19日

発見場所

静岡県富士市 
標高100m

周辺環境

公園に植樹されたマユミの樹下、下草は少なくほとんど地肌が露出している。
(春からは木陰で風通しがよい、なだらかな斜面。)

発見個体数

(ツクツクボウシタケとの発生率)

約10m×20mの広さに概算100個の個体があり、
 単独型 7個
 共生型 約15個
 

発見時及びその後の状況等
 
 4〜5日続いた雨が上がりに、定期的に観察している公園に訪れ発見。

公園の下草の少ないマユミ樹下の根際を中心に、白い花のような冬虫夏草が点在してるのを発見、詳しく観察すると白い粉のようなものが付いていないものが数本あった。

そのときは冬虫夏草についての知識はほとんどなかったので別種とは分からず白い粉のような部分(分生子塊)が雨で流されたか胞子を飛ばし終わったあとであろうと判断した。

 その後インターネットの冬虫夏草談話室に投稿し日本冬虫夏草の会のN氏のアドバイスにより白い粉のようなもの(分生子塊)があるものはツクツクホウシタケで、無いものは希少種のツクツクホウシセミタケであり日本で3番目の貴重な発見であることを知った。

 専門的に研究することが出来ないので日本冬虫夏草の会の方2名に、標本を送りその後の研究をお願いした。

多くの方から発見を祝ってくれるメールをいただきましたが、希少価値が分からない者の偶然の発見であり、本人はあまり実感が無くとまどってしまいました。)
 



発生状況、苔のない地面の方が発生数は多かった 
 
 


サナギを覆っていた白い菌糸の幕を取り除いた
ツ粒状の子嚢果



顕微鏡写真
(当会の堀越さんに検鏡していただきました。)
子嚢と子嚢胞子400×-02 胞子400ズーム3×-01

冬虫夏草の胞子は子嚢菌類の中でも特殊で、普通テングノメシガイ種のように減数分裂により8個の胞子を作ります。ところが虫草の子嚢胞子はそのひとつがさらに2次胞子に分裂しバラバラになるタイプと、分裂はしないタイプに分かれます。ツクツクホシセミタケはこの後者のタイプのようです。(N氏コメント)
 


参 考          N氏からのメールを抜粋したものを添付させていただきます。

ハナサナギタケの完全世代型がウスキサナギタケであるよううに。ツクツクホウシタケの完全世代型の、ツクツクホウシセミタケが1943年発見されました。しかしこのときは子嚢胞子が未熟のため確認できてなく、以来長く再出が待たれていた虫草です。そして再出は1997年 香川県で発見され、日本冬虫夏草の会会報第18号で真鍋博文氏がレポートしています。そのときの標本により2次胞子は清水先生によってデータ-を記録されておりますが、一般には胞子を見た人は、当会で知る限りは、いないと思います。

  ツクツクホシセミタケは非常に希少な大珍品で、今までにほとんど報告がありません。その為詳しいデーターがとれず、課題種の一つでした。そのまま話題のみで終わらすのはあまりにももったいなく、できれば、1体ご提供いただき、日本冬虫夏草の会で発表したいと思います。

 日本冬虫夏草の会は趣味の研究団体ですが、機関紙「冬虫夏草」は国立国会図書館より国際標準遂次刊行物番号 ISSN 0911-1271の指定を受けており、ここに掲載することで正式記録で後に残ってきます。 今回の発見は平成16年度「冬虫夏草第二十四号」に掲載されます。
 

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