新シリーズ <第1回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
2003年8月
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウズタケ
(直径約6センチ)

2003.8.2 神奈川県・七沢
 今月のBEST-1は何と言ってもこれだろう。ほんの数日前にきのこ仲間とも「一度は見たいねぇ」と話し合っていた矢先。まさか、こんなにすぐにお目にかかれるとは。
 きのこ多しと言えども、ヒダが同心円状に並ぶきのこはワヒダタケと本種の2種だけ。世界中や仮称のレベルでは他にもあるかも知れないが・・・。
 ワヒダタケは海に近い地域によく見られる種類だが、本種は発生そのものがかなりまれで、記録されている地域も限られている。
 新鮮な時は写真のようにヒダの色が明るいグレーだが、古くなると全体に褐色になってしまう。
 後日、付近でさらに小さなものを見つけることができた。  戻る

クロニガイグチ
(直径約8センチ)
2003.8.30 神奈川県・高麗山
 これもまた、なかなか見られない種類のきのこだ。3年前にこの場所で、カサの表面が著しくひび割れた黒いイグチを見つけて、図鑑を見て名前は分かっていた。
 この日、ふとそれを思い出してチェックしてみると、まさにその場所にいい状態のものが2本出ていた。
 カサも柄も黒いビロード状で、カサには細かなひび割れがある。管孔面は白いが爪でこするとゆっくり黒変する。肉も傷つけるとはじめ赤くなって後、黒変する。
 まったく苦味はなく、むしろわずかな甘味を感じた。食毒は不明。
 本種も図鑑によると発生確認地域が少ないようで、ネット検索しても写真がほとんど出てこない。珍菌2種との遭遇にたいへん気分のいい月だった。  戻る

ウラムラサキシメジ
(直径5〜8センチ)
2003.8.31 神奈川県・城山公園
 初めて見た時は図鑑に載ってなくて大いに悩んでしまった。クリフウセンタケに似たカサの色や鮮やかな紫のヒダから、フウセンタケ科だろうと思った。
 ところが胞子が白くキシメジ科のきのこで、以前はキシメジ属となっていたが今は独立してウラムラサキシメジ属となったようだ。
 上から見ている分にはあまり特徴がなく平凡なきのこだが、裏を見れば誰もがドキッとして歓声を上げるに違いない。
 食菌ということは分かっているが、食べた人の話ではあまり美味ではないらしい。柄もカサももろく、しっかりした肉質ではないので、あまり食欲の湧くきのこではない。
 生えたままの状態でいい写真を撮りたいと思っているが、なかなか難しそうだ。 戻る

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