シリーズ <第127回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

2月   MVPtop   4月

シワタケ
横幅約3センチ
 撮影当日の「きのこ探して」ではもっと明るい写真を使ったが、ここではおどろおどろしい雰囲気を出したくてトーンを落としてみた。当日も書いたが、何やら得体の知れない怪物が、不気味な棲みかに潜んでいるような感じがした。
 シワタケが本コーナーに登場するのはこれで3度目になり、他種に比べても多い方と言える。その訳は、とにかく不思議な形状になることが多いからで、きのことは思えぬその姿は他に似た種類が見当たらない。
 濃厚な粘液が滴り落ちたようになったり、カサの部分では粗い管孔を作ったりする。濃いペンキを2枚の板に挟んで、一気に引き剥がした時に見られる、独特のシワ模様のように見える時もある。
 不気味でありながら、なぜか気になる1種だ。   戻る
2014年 3月 2日(日)

神野山

奈良県山添村

コナエカレバタケ(近縁種?)

直径約2〜3センチ
 いくら疲れていたとは言え、これをムササビタケと同定したことには猛省している。多くの方の失笑を買ったに違いない。
 現地で詳しく観察しなかったことや、標本写真を撮らなかったことが悔やまれるが、写真を拡大してみると柄の全面に微粉〜微毛があることが分かった。
 「そうか、これがコナエカレバタケか」と、ここ数日ネット上でよく見かけていた仮称種(北陸のきのこ図鑑)に結び付き喜んだ。早速、訂正すべく続編を更新したが、同種のカサの色(中央クリ褐色で周辺淡肌色)とはかなり違うことが気になり始め、「近縁種」にさらに「?」まで付けることになってしまった。
 紫色のコノハシメジ・・・簡単に言えばそんな感じだが、まだきのこが少ない季節での貴重な発見だったのに残念だ。  戻る
2014年 3月 8日(土)

上野森林公園

三重県伊賀市

ウメムラセミタケ

地上部約2センチ
 黒っぽい地面の上でよくこんなものを見付けられたと、参加メンバーのきのこ目に感服した。さらに、初めて聞く種名に同定されたことにも驚いた。種名は発見者への献名ということらしい。採取はギロチンになってしまったが、ニイニイゼミの幼虫から生えていた。
 ところでこの「冬虫夏草」の仲間は、最近の分類で「オフィオコルディセプス科」という舌を噛みそうな名前になっている。「バッカクキン(麦角菌)」とか「冬虫夏草」という名前に馴染んでいるため、学名のカタカナ読みには腹立たしいほどの抵抗を感じる。分類学の研究者には大いに学名を駆使していただき、われわれ素人のきのこファンに向けては、もっと親しみと情緒のある「日本語の名前」を付けるセンスを持っていただけないものだろうかと、悲しくなる。
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2014年 3月23日(日)

くろんど池観察会

奈良県生駒市

2月   MVPtop   4月