シリーズ <第126回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アクニオイタケ
2014年2月9日(日)

むろいけ園地

大阪府四條畷市
 「何んにも無いゾ・・・」などとブツブツ言いながらコースの中ほどまで来ると、緩やかな登り坂の脇に立つ木の根にこれが見えた。高さは1センチあまりと極めて小さいが、今日初めてのカサと柄のある種類だ。
 三脚にカメラをセットして、とにかく最接近で撮影開始。これだけ小さいきのこだといつもレフ板の扱いに苦労させられるのだが、幸いなことにこの日は雪が積もっていて、天然のレフ板効果で光がうまく回ってくれる。
 さて、それはいいのだが、きのこの種類は何だろう。一見してクヌギタケ属の仲間らしいことは分かる。カサは灰色がかった褐色で、長い条線がある。特徴的なのは柄の色で、やや黒っぽい灰色でツヤがない。季節も考えるとアクニオイタケのようだ。この小さな1本だけだったので、つぶしてニオイを確かめるに忍びない・・・と、種名はそれでいいことにした。 戻る

クロハナビラニカワタケ  まれと言うほどではないにしても、ハナビラニカワタケに比べるとあまり見かけない種類だが、これまでこの公園ではよく目にしていた。広い範囲でコナラの落ち枝や立ち枯れに、独特の黒褐色のはなびらをくねらせている姿を見かけた。
 分類ではハナビラニカワタケと同じシロキクラゲ属になるが、肉質がやや硬くて厚みもあまりない。外見からはどちらかというと、ハナビラタケの黒色バージョンという感じがする。
 キクラゲの仲間に毒は無い・・・ということらしいが、図鑑では食毒不明や食不適と書かれている。近縁のハナビラニカワタケも、姿の似ているハナビラタケも、食菌として紹介されているが、本種はよほど歯切れが悪いのかそれとも不味いのか、評判は良くないようだ。寒い季節のいい被写体・・・止まりというところか。 戻る
2014年2月9日(日)

むろいけ園地

大阪府四條畷市

チャムクエタケモドキ
2014年2月22日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 トガリアミガサタケは「春告茸」だと書いたことがある。そして、それより早く目にする本種は、冬が終わったことを告げるきのこだと思う。
 朝、出かける時に、せめて晴れて無風であって欲しいと願ったが、それは聞き入れてもらえなかった。それでも驚いたことにウグイスが、早くもさえずりの練習を始めていた。
 今年の2月は珍しく、2度もたくさんの雪が降った。しかも2度目の14日(金)は奈良県で記録的な15センチの積雪だった。その後も気温の低い日が続き、日陰の残雪はいつまでも溶けずにあった。
 しかし、そんな中でも雪解け水は着実に、春の足音を呼び起こしていたようだ。昼食ポイントのベンチの傍で、この幼菌や小さな成菌を見付けることができた。ウグイスの声とともに、しっかりとした春の訪れを予感させるものだった。 戻る

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