シリーズ <第191回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

一ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

6月   MVPtop   8月

ヒメコガネツルタケ  先月26日に「遅い記録」を更新して、近畿地方がやっと梅雨に入った。それまでは乾燥した日が多く、きのこの発生はずっと低調だったが、今月に入って遅れを取り戻すかのように雨がよく降りきのこ達が目を覚ました。
 これまで本種のいい状態の写真が撮れてなかったが、ちょうどタイミングが良さそうなので狙いを定めて行ってみた。公園内にはいろんな種類が出ていて、「きのこ探して」の更新は珍しく前後編の2回にまたがった。
 嬉しいことにポイントへ行くと、10メートルほどの範囲に本種が30本あまり散生していた。カサ表面の鱗片がきれいに残ることが少ないので、たくさん生えていると被写体を選ぶことができる。
 迫力のある大きなきのこが多いテングタケ属の中では最も小さなグループの1種で、「可憐」という言葉がよく似合うきのこだ。ずっと抱えていた不満が、ようやく解消された嬉しい一日だった。  戻る
2019年 7月 5日(木)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

ミドリニガイグチ  梅雨に入るとぼちぼち「夏きのこ」が姿を現す。代表的なものとしてはテングタケの仲間と、そして、このイグチの仲間だろう。おっと、ベニタケの仲間も忘れてはいけない・・・のだが。
 関東にいた11年間では、あまりたくさんのイグチの仲間を見なかった。その代わり富士山や信州方面では、カラマツ林などに出る高地生の種類を見ることができた。関西に帰ってきて驚いたのは、里山や公園にイグチがたくさん出るということだった。まるで「ニガイグチ王国」だと思ったほど種類が多い。おかげで特徴をよく観察して、種類を見分けるヒントをたくさん得ることができた。
 本種のカサの色合いには少し幅があって、かなり黄色いものや神秘的なオリーブグリーンのものがある。今回はあまり色が濃くなかったが、黄色い管孔、網目のある柄、基部の鮮黄色など、特徴がよく出ていた。   戻る
2019年 7月 8日(月)

くろんど池

奈良県生駒市

チャタマゴタケ  タマゴタケと言えば「真っ赤」なきのこ。赤にもいろいろあるが、それは印刷用語で言うところの「金赤」で、マゼンタ100+イエロー100の赤である。その黄色型がキタマゴタケで、茶色型が本種である。以前は亜種とされていたがDNAによりそれぞれ別種となった。
 どういう訳か全国的には稀種とされる本種が、近畿圏ではよく観察されている。それまで見たことがなかったので、観察会メンバーから同地に出ているという情報をいただいて撮影に出かけた。当日は体調が芳しくなく、ごく狭い範囲しか歩くことができなかったが、付近一帯は種々のきのこが大発生の状態で、すぐに本種を見つけることができた。典型の茶色よりやや黄色みが強いタイプだったが、中心部が濃色になっている点などキタマゴタケとは明らかに違っていた。また、本種には色素の抜けた純白型もあるらしく、それもまた写真の被写体としては魅力的なモデルだ。  戻る
2019年 7月15日(月・祝)

橿原神宮

奈良県橿原市

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