2004.08.28 富士山(山梨県)
 菌友3人と一緒に富士山を歩いてきた。
 台風の影響で小雨が降っていたが、キノコは最盛期でどれも雨に濡れた綺麗な姿を見せていた。
 都合により主な食菌だけを掲載することにした。

 ・ ツガタケ
 ・ サクラシメジ
 ・ ツバアブラシメジ
 ・ マツタケ(1本、大きく虫に食われていた。)
 ・ ホウキタケ
2004.08.25 富士山(山梨県)
 雨後の2日目で期待に胸を膨らませ滝沢林道に行ったが、同じことを考えた人が多いようで、平日にも関わらず駐車場に空きがないほど多くの人が来ていた。(ほとんどが県外車)
 キノコ狩りの獲物は気にせず。面白い被写体を探して、あまり人が入らないような所を歩いたが、手つかずの場所にはいい被写体が出ていた。

 沢筋の日陰の倒木にナラタケにしては黄色すぎるキノコが出ていて、近づいて見るとハナガサタケだった。傘が開く前に乾燥し始めてしまったようだが落ちやすい鱗片が全体に残っていた。
 ベニテングタケは盛りを迎えたようで大きく開いたものや幼菌がたくさん出ていた。ここに出るものは真っ赤ではなくオレンジ色から黄色に近いものが多く、地域により違いがあるような気がする。(写真は一番赤いもの。)
 込み入った林は足元ばかりを見て歩くが、フウセンタケの不明菌を撮影して立ち上がったとき上を見ると、ダケカンバに黒いこぶのような塊が何カ所も付いていた。カバノアナタケの知識があったからキノコと分かったが、どう見てもキノコには見えないキノコだ。
 イグチ類はハナイグチ以外、ほとんど出ていなかったが苔むした林でオオキノボリイグチを見つけた。地上から出ていたためか足太で貫禄のある逸品だった。
 探そうとするとあまり見つからないクロカワの菌輪が3ヶ所あり、久しぶりにいい写真が撮れた。獲物はもって帰らない予定だったが好きなキノコで保存も利くので結局今日もキノコ狩りになった。
2004.08.22 富士山(静岡県)
 昨日の続きで、今日は水が塚から高鉢山周辺を案内してきた。

 集合時間前に着いたので、付近の林にはいるとダケカンバと思われる倒木にスギタケモドキが出ていた。いつもなら9月以降に出てくるので富士山の亜高山帯のキノコ同様2週間近く早いようだ。

 シラビソの林に移動し観察会を始めたが予想外にキノコは少なく、昨日同様ほとんどが観察用キノコだった。

 湿り気のある地上から久しぶりに見るトビイロノボリリュウタケが出ていた。1本あると周りにもあるので丁寧に探したが今回はこれだけだった。

 乾き始めた苔のあちこちに紫色のマッチ棒を立てたような幼菌が散生していて、付近を見ると成菌も幾つか見られ、フウセンタケ属のように見えた。
 ムラサキアブラシメジモドキに似ているが傘がささくれて粘性もないので不明菌になってしまった。

 大きくてよく目立ったのはミヤマタマゴタケで、昨日も出ていたがツガやシラビソ林の方が数が多いようだ。

 帰りの林道脇に真っ白いキツネノチャブクロ(ホコリタケ)が出ていた。やがて黄褐色になってしまうが幼菌で中が白いときは食用になる。

 この付近(標高1,300m)は、まだシーズンイン前でキノコが少ないので健脚コースを案内しましたが、高齢の方がいたにも関わらず皆さんの体力には驚きました。また富士山へ遊びに来て下さい。
2004.08.21 富士山(静岡県)
 関西菌類談話会の観察会が富士山御殿場口(太郎坊)付近で開催され、山の案内をしてきた。
 この時期、カラ松主体の林は亜高山帯のツガやシラビソなどの針葉樹林に比べると、大きな食菌などはまだ少ないが、小さいながらも綺麗で可愛いキノコがたくさんでていた。

 いきなり目を引いたのは、レモン色に輝くアキヤマタケで所々に菌輪を作り幼菌から老菌まで観察することができた。

 苔の中に傘径1センチくらいの赤いキノコが点々と出ていて、撮影のためローアングルからのぞき込むとヒダが長く垂生しているのでベニヒガサと判明した。

 アカイボカサタケとキイボカサタケは何処に行っても出ていたがシロイボカサタケは見つからなかった。

 カラ松の林に付きもののカラマツシメジもたくさん出ていて、幼菌から老菌まで観察できた。

 参加された会員の中には、九州や四国からの人もいたので亜高山帯のキノコの方が富士山らしいような気もしたが、キノコ狩りではないのでこんな一面を楽しんでいただくのも良かっただろう。
2004.08.18 ハダイロウラベニガサ(Rhodocybe truncata)
 アルバムの「不明菌1」に、北海道の中井実様から有力な情報をいただいたので紹介します。
 私なりに要約したものを記載しようと思いましたが、中井様にいただいたメールがすばらしい内容でまとめられているので、ほとんど原文のまま掲載させていただきます。
 
7月3日、ミズナラ等の広葉樹林の地上に発生しました。
傘の径は7〜9.5cmで「不明1」より小さいようです。
胞子は多少角ばった楕円形で5〜6×4〜5.5μmです。
きのこの様子は写真を見てください。
私は、「ハダイロウラベニタケ Rhodocybe truncata」と同定しました。

学名をスイスの図鑑で調べ、和名は「原色日本新菌類図鑑T」で知りました。
スイスの図鑑では学名を「Rhodocybe gemina」とし、
「R.truncata」は同義語としています。「原色日本新菌類図鑑T」は
「R.truncata」の方を採用しています。
「R. gemina」をネットで検索すると、いくつも写真が見られます。
手元の資料では、スイスの図鑑の他、「NORDIC MACROMYCETES Vol.2」
という北欧の本にも写真なしの記載文だけありますが、内容はスイスの図鑑と
ほぼ同じです。
 
スイスの図鑑の記載を辞書片手に悪戦苦闘して解読しました。
以下要点を記載しておきます。
[ 針葉樹林に発生、まれに広葉樹林、稀なきのこ。
傘の径40〜100o、まんじゅう形から平らに開き、時としてややくぼみ、中丘を
持つ、通常ゆがんだ円形で、しばしば波打つ、表面は光沢なく、幼菌は微細な
綿毛状、橙褐色〜茶褐色で縁部は永く内に折れる。
 肉は帯白色〜クリーム色。匂いはかすかにspicy、味はやや苦味がある。
 ひだは明るいベージュからやがて暗くなり、帯ピンク褐色、直生〜やや湾生〜やや垂生、傘から離れやすく、縁部は円鋸歯状、しばしば柄に向かって分岐する。
 柄は40〜70×9〜20o、円柱形、しばしば下方に細まる。中実からやがて髄状になる。表面は細かい綿毛繊維状、ところどころ縦の溝線がある。
 胞子は楕円形〜広楕円形、やや角張り、帯黄色、4.9〜6.1×3.8〜4.7μm。] 
どの資料を見ても通常は針葉樹林に発生するきのこのようでチョット気になりますが、広葉樹林を全く否定しているわけでは無いようです。
 
私が今年このきのこを見たとき、一個だけ平開した個体がありました、
周辺が裂開し、ややくぼみ、はっきり中丘が確認できます。前回は「不明1」に似た感じの写真を添付しましたが、スイスの図鑑の写真はむしろこちらに似ているようにみえます。
 なお、私の観察結果は肉眼的にも、顕微鏡的にもスイスの図鑑の記載に
ほぼ合致しました。
 
 不明菌の最初に掲載したのは、数ある不明菌の中でも一番手がかりがほしかったからで、今回こんなにすばらしい情報をいただいたことは感謝に堪えません。写真はもちろん、スイスの図鑑の説明はまさに同じキノコを見ている内容で、「不明菌1」はハダイロウラベニタケで間違いなさそうです。(検鏡をしていないので、その部分はご容赦下さい。)

 キノコのホームページをはじめた理由の一つに、不明菌を教えていただいたり掲載種等の間違いを指摘していただきたい思いがありました。
 中井様ありがとうございました。改めてお礼申し上げます。
 
 














2004.08.17 富士山(山梨県)
 9日に掲載した亜高山帯の針葉樹林に出る、網目の薄いヤマドリタケモドキについて「Masu Room」の掲示板で話題になり、いただいた情報から世界三大キノコの一つのポルチーニ(ヤマドリタケ)であることが判明した。

 今日は、もう一度はっきり確認するとともに、味わい直すために滝沢林道を散策してきた。お盆明けから活動を開始した人が多いようで、平日にも関わらずキノコ狩りの人が多く、思うところへ入れなかったが、なんとか2本見つけることができた。

 他のキノコは驚くほど多くなっていて、ショウゲンジは所々で菌輪を作り食べ頃の幼菌がたくさん出ていた。
 フウセンタケ科のキノコも増えヌメリササタケやツバアブラシメジも要所要所に固まって出ていた。
 久しぶりに見つけたのはムラサキフウセンタケ?(針葉樹のものは別種といわれている。)で。4本出ていたがいずれも根本が膨らんだ大物で、強烈な紫色とササクレが印象に残った。
 ハナイグチもカラマツ林の所々に出ていたが、数日前に一斉に出たようで幼菌や老菌はなく何処へ行っても成菌ばかりだった。

 帰りに入山鑑札(1,000円)を購入するため、きのこ屋さんによって様子を聞くと、例年より半月ばかり早く始まったようで、すでにホウキタケやマツタケも出始めているらしく現物を見せてもらった。
 
2004.08.12 富士山(静岡県)
 お盆が近づき忙しい日が続くので、当直明けの眠い目を擦りながら西臼塚のブナ林を歩いてきた。
 連日霧がかかるので山肌は湿っているが、キノコは端境期らしくなかなか見つからなかった。

 こんな時でもクチキトサカタケなら出ているだろうと、ウラジロモミの中に倒れたブナの巨木を見に行くと、以前見たときより大きなものがたくさん出ていて最盛期を迎えているようだった。

 この場所は日当たりが悪く湿度が強いためか、クロサカズキシメジウスヒラタケも出ていてまとめて撮影することができた。

 地上から出ているキノコはとても少なく、大きな立ち枯れの周りにカレバキツネタケが散生していたがすでに朽ち始めているものが多かった。

 富士山も雨が降らないので、この晴天が続くと針葉樹林のキノコも少なくなってしまうだろう。
2004.08.09 富士山(山梨県)
 富士山はスカイライン、スバルラインが夏休みの通行規制に入り、アザミラインは混雑が予想されるので滝沢林道を散策してきた。

 まだ時期が早いのか出ている場所は限られたが、いいポイントに入ると観察には十分なキノコが出ていた。

 シラビソとカラマツの混成林の苔むしたところにアカアザタケが出ていた。傷みの早いキノコだが久しぶりに状態のいいものに出会えた。

 すぐ近くのシラビソの根本に小さなベニテングタケが出ていた。この場所では今まで見たことが無く、こんなに早い時期に出るとは、今年は大当たりになる前触れかもしれない。

 広葉樹が少し混ざるところに、傘径16センチのオオツルタケが出ていた。今まで見た中で一番大きくまさにオオツルタケの貫禄があった。

 オオキツネタケも大きいものが出ていて、遠くから見るとツエタケのように見えたがこれも最大級だろう。

 毎年9月にヤマドリタケモドキが出る場所に、もしかしたらと足を延ばすとまだ虫も入らない食べ頃がぽつりぽつりと出ていた。

 久しぶりのキノコ狩りも堪能して気分良く帰途に着くことができた。
 
2004.08.05 富士山(静岡県)
 1日のブナ林で極小の幼菌の固まりを見て気になっていた場所があり、昨夜からの雨が小降りになったのでその場所を見てきた。

 ブナが立ち枯れた根本に、幼菌の株は3つに増え順調に成長していた。株立ちの様子からシャカシメジかナラタケモドキと思ったが、全体に赤味が強く、柄にササクレがあるので両者の線はすぐに消えた。オオワライタケも浮かんだが時期が違うし柄がスラッとしているのでこの線も消えた。
 とても美味そうに見えるので大きい方を一株持ち帰り、図鑑とネットで調べるとカオリツムタケで毒キノコであることが判明した。そこで改めて臭いを嗅ぐと線香のような独特の臭いがあった。まだ幼菌だが成菌になればこの臭いはもっと強いものになるだろう。食菌と形状が似ていて見た目がいいので食べてしまう可能性が強いキノコだ。
2004.08.01  富士山(静岡県)
 「真夏の西臼塚」
 真夏のブナ林は、ほとんどキノコが出ないので標高の高い針葉樹林に足が向き、訪れることはほとんどなくなる。しかし、「日照りマイタケ」と呼ばれるトンビマイタケだけは別物で、酷暑を好んでこの時期に出てくる。
 いつも時期をはずし、堅くなった老菌ばかり見ていたが、今日は目的を絞って探してみた。昨年老菌を見たところには何もなく、近くの出ていなかった倒木の周りに今年は11株がギッシリと出ていた。(1株でもザックに収まらない量)
 小さい株の一枚を取り、擦ってみたが黒変しないのでミヤマトンビマイと思い撮影を続け(15分位)立ち去ろうとしてあらためてみると真っ黒になっていて「トンビマイタケダー!」と驚かされた。食べるにはやや堅すぎると思ったが、柔らかそうな所を2〜3枚採取し持ち帰えり、家に付くとみごとに黒くなっていた。
 以前の自分なら、なんとしてもすべて持ち帰ろうとしただろうが、観察し写真を撮って楽しむスタイルに変わっている自分を改めて感じた。
 他にキノコはないので3合目付近の針葉樹林に移動すると、多くのキノコが出ていたが、はじめ見たとき巨大なドクツルタケと思わされたミヤマタマゴタケを取り上げた。