新シリーズ <第4回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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クロフチシカタケ
(直径約4センチ)

2003.11.3 神奈川県・飯山
 いままで何度かクロフチシカタケと思われるきのこは見てきたが、これほどはっきりとしたヒダの縁取りを撮影できたのは初めてだ。
 ヒダ一枚々々にくっきりと見える縁取りの黒い線は、ルーペでもっと拡大してみると、誰もが驚きと感嘆の声をあげる。
 一部の図鑑で写真を取り違えて掲載されていたため、しばらくの間この種名を別のきのこだと覚えていた。HPを開設して間もない頃、数名の方から指摘を受け、正しい名前を知ることができた。
 倒木や落ち枝に生えるウラベニガサ科のきのこだから、新鮮な姿が見られる時間は短い。一日後にはもう朽ち始めることだろう。  戻る

コガネタケ
(直径約10センチ)
2003.11.3 神奈川県・飯山
 不思議なことに、決して珍しくもない普通に見られるきのこでも、どうしてもいい状態にめぐり会えない種類がある。私にとってこのコガネタケがそんな1種だ。
 今年はあちこちで大発生していると耳には聞こえるが、やはり見つけられない。やっと撮影できたこの2本も、同行のW女史の発見によるものだ。
 小雨が降ったためにカサの上に斑点模様ができてしまったが、実際はきのこ全体がまるで「きな粉」をまぶしたように、黄色い微粉で覆われている。
 肉が堅く締まりボリュームのある食菌だが、やや風味にクセがあるらしい。生える場所も比較的、道端などが多いため少し敬遠されているようだ。  戻る

アクイロウスタケ
(直径約6〜7センチ)
2003.11.23 神奈川県・びわの森
 今まであまり見なかったきのこだが、急にまとまって発生したようだ。カサを上から見ると朽ちて黒くなったきのこに見えるが、採取して裏返すと明るいグレーにシワ状の脈が一面に走っていて驚く。
 アンズタケ科のきのこで、ちょうどアンズタケを無彩色に変えたような姿だが、味もニオイも全くない。近縁のトキイロラッパタケやクロラッパタケが食用とされるのだから、これも食菌ではないかと思うが、図鑑には食毒についての記載がない。
 発生がややまれなことから、試食されたことがないのだろう。
 今回が終わればまたしばらくは姿を見せないのかも知れない。なかなか印象深いきのこだった。  戻る

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