シリーズ <第12回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アシボソトマヤタケ
(高さ約10センチ)
2004.7.3 神奈川県・平塚市
※ナガ⇒ボソ 2012/6訂正
 遠くから見つけたときはてっきりアシナガタケだと思ったが、近づくとどうも雰囲気が違う。全体が褐色で強靭な感じだ。
 カサの部分をよく観察すると、中央が尖っていて放射状のササクレがある。これはアセタケ属の特徴だ。
 そう言えば幼菌の会の「きのこ図鑑」に良く似た写真があったように思い、調べてみるとドンピシャ!
 初めて見るきのこだ。それにしてもこれほど分かりやすい特徴のきのこが、今までの図鑑に名前がないのは不思議なことだ。分布域が限られているのか、それとも発生そのものが極めて珍しいのか。  戻る

ベニイロヌメリウラベニイグチ
(仮)

2004.7.12 長野県・白駒湖
※現「アカネアミアシイグチ」(2012/3)
 会の宿泊勉強会が終わり、解散後にいつもの仲間で白駒湖へ足を延ばした。興味深いきのこがいくつも見つかったが、中でもこれは逸品。カサの表面にまだら模様があるのでオオキノボリイグチのように思われたが、強いヌメリがあることから別種だと分かった。
 管孔面もほとんど同色で、きのこ全体が紅色をしている。管孔からは澄んだ黄色い液をいっぱい出している。柄は紅色の網目があり、部分的に裂けて黄色い肉が見えている。
 図鑑からは全く該当するものは見つからず、未知種であると判断して、ひとまず我われ仲間で仮称を付けた。キクバナイグチ属かヤマドリタケ属と思われる。  戻る

コフクロタケ
高さ約3センチ
2004.7.18 神奈川県こども自然公園
 これもたいへん珍しいきのこで、写真を掲載している図鑑やHPがほとんどない。
 ひょっとすると珍しいのではなく、根元にある褐色のフクロに気づかず、小型のウラベニガサ属のきのこと判断されることが多いのではないかと思う。
 発見者のK氏がそれに気づかなかったら、恐らくゴミが付いているくらいにしか思わなかっただろう。お陰で貴重な写真を撮ることができた。
 ウラベニガサ科フクロタケ属のきのこで、カサも柄もツボも微毛に覆われる。ツボを持つきのこは、この仲間とテングタケ属しかないのは奇妙な類似点だ。
 今回は珍菌3種を選んでみた。 戻る

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