シリーズ <第18回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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エノキタケ
(カサ径1.5〜3センチ)
2005.1.8 神奈川県・七沢
 これほど整った形のエノキタケを見るのは久しぶりだった。沢を渡る橋の上から上流を見上げると、遠くの倒木にきのこらしいものが見えた。遠目にもいい形が見て取れた。
 近づいて行って思わず歓声を上げた。さまざまなアングルから慎重に撮影したが、この季節は沢の中に長時間いるとすっかり身体が冷えてしまう。急いで車に戻って暖を取った。
 残念なのは背景である。大きな倒木にべったり泥が付いているので、まるで斜面から生えているようで「らしく」ない。
 「Gallery」にはバックのトーンを落として、きのこが浮き立つようにして入れてみた。  戻る

ヒメカバイロタケモドキ
(カサ径約1センチ)
2005.1.30 神奈川県・高麗山
 初めて高麗山の地獄沢へ行ったのはもう5年前になる。散策路脇の朽ちた柵に小さなカサのきのこが並んでいた。当時は本種を知らなかったので、てっきり小型のワサビタケだろうと思った。かじってみたが辛さがなく、疑問に思ったがさほど気にもしていなかった。
 2年ほど前に別の場所で本種を知って、その後にここを訪れたときにやっと種名が確定した。辛くなくて当然だった。
 小型で朽ちた針葉樹に群生し、ヒダが柄に垂生するなどヒメカバイロタケに似ているが、色が褐色であることや柄が偏心することが多い点で見分けられる。  戻る

ツバキキンカクチャワンタケ
(直径0.5〜3センチ)
2005.1.30 神奈川県・高麗山
 高麗山にはヤブツバキがたくさんあるが数ヵ所で本種を見つけただけで、他ではあまり気を入れて探していなかった。
 いつも行く「けやきの広場」できれいな花がいくつも落ちていたので、ここに生えていたら絵になる写真が撮れるなぁ、と妙な発想から探してみると、いくつも見つけることができた。
 平たく言えば「ヤラセ撮り」公認のようなきのこだから、こんな発想が生まれるのだろう。
 氷が張るほどの寒い日でも元気に胞子を噴き出しているのは、ツバキという花の季節に発生サイクルを合わせているのだろうか。真冬から梅雨の終わりごろまで、ずいぶん長い期間に観察することができる。  戻る

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