シリーズ <第21回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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フウセンタケの仲間
(カサ径5〜7センチ)
2005.4.3 神奈川県・七沢
 この日は午前中一杯歩いて完璧な空振り。今日の更新は無理だとさえ予感された。
 ところが積もった枯葉に隠れて、波打った褐色のカサがいくつか見えた。慎重に取り除きながら我が目を疑った。次々に姿を現して、1m四方の中に10数本も生えていた。しかも、これはどう見てもフウセンタケ科だ。くもの巣膜のツバ、赤錆色の胞子、柄の上部のわずかな紫色、これでは間違えようがないだろう。
 手持ちの図鑑やいくつかのHPを探したが、同定はできなかった。サザナミニセフウセンタケというのが最も似ている。しかし、どのフウセンタケ属も発生は夏から秋。いわゆる「狂い咲き」に当たるのだろうか。  戻る

キツネノヤリタケ
(高さ2〜7センチ)
2005.4.23 神奈川県・高麗山
 今年がキツネノヤリタケの豊作の年なのか、それとも今までこれを見つける目を持ち合わせていなかったのか。
 あちこちのヤマグワの樹下にキツネノワンを見つける。そして、しばらくして目が慣れてくると、それまでなかったはずの場所に本種が立っている。
 きっとこれを見つけるには、今まで見た記憶を蘇らせて形を再認識し、なおかつ、必ず生えているはずだ、という強い信念を持つことが必要なのだろう。
 気になるのは同じ発生環境にいるキツネノワンとは共存なのか、それとも敵対なのかということ。同じようにクワの実に菌核を作るきのこだから、共存しているとは考えにくい。とすれば、どちらが強いのだろう。  戻る

アミスギタケ
(カサ径 2〜3センチ)
2005.4.29 神奈川県横浜市・新治
 全く珍しくなく、少し古くなった切り株や木材によく生えている。ところが、いわゆるサルノコシカケの仲間としてはまことに珍しく、とてもフォトジェニックなきのこなのだ。
 幼菌のスタイルもユニークだが、均整の取れた成菌はこのように2本だけでも、あるいは数十本と群生していても、見事なバランス感覚を持って生えている。しかも、虫にかじられたりすることが少ない。
 「またアミスギタケか・・・」などと心の底で呟きながら、気が付いたら何十カットもシャッターを切っている。硬質菌にレンズを向けることが少ない中で、本種だけは突出して撮影枚数が多いに違いない。
 見つけると、やり過ごせないきのこだ。  戻る

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