シリーズ <第27回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

9月  MVPtop  11月

ヒメチシオシメジ
(カサ径約3センチ)
2005.10.1 静岡県・富士山南麓
 どんなに美味しいきのこの群生より、華やかで新鮮なきのこの方が嬉しい。おまけに珍しい種類だったりすると、舞茸よろしく踊りたくなる。
 これも苔むした倒木にやたら目立っていた。第一印象はずいぶん赤いミドリスギタケだった。しかし、ツバの様子やヒダの色が違いすぎる。・・・で、撮影の後は念のため採集。
 翌日、城川先生にお見せして、チャツムタケ属だと思うと知ったかぶり。先生は、カサが開いているのにヒダが胞子で濁ってないので、胞子が白いかも・・・と仰った。
 それをヒントに新菌類図鑑で発見した。なんとキシメジ科サマツモドキ属だった。こういう発見があるから、こまめな撮影がヤメラレナイ。  戻る

ムレオオフウセンタケ
(右・直径 約9センチ)
2005.10.9 山梨県大和村・大志戸
 2001年10月にこの山で大きな成菌を見たことがあるので、このカサを上からチラッと見た瞬間に分かった。
 カサの表面が透明のジェルで覆われて、きれいなアズキ色をしている。柄は真っ白で綿状の被膜で包まれている。とてもしっかりと締まった肉質でズッシリと重い。
 やや粉臭があるので山椒を効かせた佃煮風に煮込んでみたが、適度にヌメリがあって歯応えも上々。なかなか美味しいきのこだった。
 あまり見かけない種類らしいが、広島での1回を含めて3回目の発見だった。石灰岩地帯のミズナラの樹下などと図鑑には書いてあるが、樹種に環をかけて地質などは分からない。枯葉が堆積しているところに生えていた。  戻る

フタイロシメジ
(カサの直径 約7センチ)
2005.10.15 神奈川県厨子市・神武寺
 初めて見るきのこで、色の鮮やかさに驚いていたら、去年もここでの観察会で見つかったらしい。風邪を引いて欠席したので見られなかった。
 柄の鮮やかな蛍光オレンジはハナガサイグチと同じ色で、柄だけを見たらきっとそう同定してしまうだろう。カサの中央が突出してハエトリシメジにそっくりだが、分類的にも近い種らしい。分布域がかなり限られているようで観察例が少なく、城川先生によると神奈川県下でもこの神武寺以外では記録がないとのことだった。
 図鑑によるとハエトリシメジ同様に旨みのある食菌扱いだが、ネズミシメジなども近縁のようだから多量に食べるのはよくないかもしれない。  戻る

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