シリーズ <第29回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2005年12月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

11月  MVPtop   1月

ムジナタケ
(カサ径 約4センチ)
2005.12.3 神奈川県平塚市・高麗山
 冬には珍しくムジナタケのいい状態を見つけた。地面ではなく斜面の低い位置だったのでローアングルでヒダを撮ることができた。
 図鑑に「ヒダに黒い斑点ができ縁部は白粉状」とある通り、まるで黒い金属板が並んでいるような鋭利さを感じる。ポケットミラーで光を当てると、白い縁取りが輝いて見えた。
 あまりフォトジェニックなきのこではないというイメージを持っていたが、やはりどんな種類であれ見るものを「ハッ」とさせる美しい瞬間はあるものだ。
 毛むくじゃらの可愛い幼菌といい、このヒダの美しさといい、ムジナタケを見る目がかなり変わったことは確かだ。 戻る

エノキタケ
(カサの直径 2〜4センチ)
2005.12.10 神奈川県横浜市・新治
 今年最後の定点観察会は「冬晴れ乾燥状態」という、悪コンディションの中で行われた。やはり見つかるのは硬質菌やホダ木上のきのこばかりだったが、埋もれ木から生えるきれいなエノキタケが見つかった。
 絡まった雑草やツル草を丁寧に取り除き、雰囲気を残しながらの撮影に配慮した。・・・つもりだったが、PCに取り込んでみて我ながら愕然とした。なんと左上には直射日光を遮るための傘、右の奥には誰かが捨てたティッシュ、そして下の左右にはレフ版のポケットミラーが写り込んでいた。
 時どきやってしまう失敗だが、これほどいくつも見逃したのは初めてだ。極力トリミングをしない構図を心がけているので、大いなる反省のカットになった。  戻る

センボンサイギョウガサ(?)
(カサの直径 1〜3センチ)
2005.6.XX 神奈川県・某里山公園
 これは12月の撮影ではないが、「きのこのこのこ」コーナーの写真を探していて見つけたものだ。撮影したときも雰囲気の違いを感じながら「ウスベニイタチタケ」として保存しておいた。
 幻覚性の毒を持つ種類かと疑ったのだが、柄が青変しないので違うと思った。ところがモエギタケ科シビレタケ属ではなく、ヒトヨタケ科ヒカゲタケ属の方は青変しないことをこのとき知った。
 平成14年(2002)6月6日、シロシン及びシロシビンを含有するきのこが取締りの対象となり、所持しているだけでも処罰されることになった。本種は有名なワライタケより毒性が強いとされるが、かなりまれな種類のため、次の機会に正確な同定を試みたい。  戻る

11月  MVPtop   1月