シリーズ <第32回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヒメカイメンタケ
(直径 約6ミリ)
2006.3.18 静岡県伊東市・一碧湖
 立ち枯れたコナラの木にきれいなダイダイタケを見つけて撮っていたところ、もっと根際の苔の間に、小さなカサがぶら下がっているのを見つけた。
 これは確か図鑑で見た覚えがある。ダイダイタケの撮影もそこそこに、図鑑を出して探してみた。「これだ!」記憶は正しかった。
 目いっぱいのクローズアップ撮影をしているから大きく見えるが、実際の直径は約6ミリという小さなもの。多角形の小さな管孔が並んでいるので、まるで極小の蜂の巣という感じだ。付近にもう2個あったが残念ながら朽ちていて管孔がなくなっていた。
 発生はまれとのことなので、今後も観察ポイントにしたい。  戻る

ハナヤスリタケ
テングノメシガイ属

(高さ 約7ミリ)
2006.3.21 神奈川県平塚市・高麗山
 ようやく春になったとは言えやはりまだ地上生のきのこは見つからない。どんな小さなものでもいいから見つけようと、だんだん目がミクロモードになっていく。
 その甲斐あって自分でもビックリしてしまう超小型で、しかも黒いきのこを歩きながら見つけた。高さは7ミリ。冬虫夏草の感じがしたので撮影後に土ごと掘り起こしたが、地中からは何も出てこなかった。
 図鑑で調べると本種であることが分かり、虫からではなく地下生菌のツチダンゴに寄生して、長い菌糸を伸ばして生えるらしい。もう少し掘ってみたがツチダンゴを見つけることはできなかった。
 
※後日、検鏡していただいてツチダンゴとは無関係のテングノメシガイ属であることが判明した。  戻る

ヒメコンイロイッポンシメジ近縁種
(直径 1〜2センチ)
2006.3.26 神奈川県厚木市・七沢
 濃い紫色や紺色をした小型のイッポンシメジの仲間には、ヒメコンイロイッポンシメジの他にも何種類かあるようだ。極めて小さくて林床に単生するタイプや、本種のように砂地の裸地に散生するものなどがある。
 高麗山と当地の2箇所で毎年見かけているが、当地のものはヒダがより垂生する特徴がある。共通しているのは色と大きさで、肉眼ではほとんど黒に近い濃紺なのにデジカメでは鮮やかな紺色になる。
 ヒダの白さが際立って美しく、カサの開いたものはヒダにピンク色が見える。何とも神秘的な美しさを撮影したいのだが、いつも非常に撮りづらい場所に生えている。いつか必ずGallery級をと狙っているのだが、今後も継続・・・そんなきのこばかりだ。 戻る

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