シリーズ <第34回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO


5月20日に亡くなられた山口義夫さんを偲んで、氏がよく探索されていた「高麗山」を翌21日に歩いた。当日は「きのこ探して」に更新する気になれなかったが、今月のMVPには哀悼の意味を込めてその日に撮ったものを掲載します。
山口義夫さんは、私にホームページ開設を強く勧めてくださった恩人です。「難しいんでしょ?」と躊躇する私に、「簡単々々、ボクでもできてるから」と明るく答えてくださいました。

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アカヒダカラカサタケ
(カサ径 約2.5センチ)
2006.5.21 神奈川県平塚市・高麗山
 数え切れないほど高麗山を歩いているが本種を見つけたのは初めてだ。
 カサの表面にはっきりと放射状のシワが見えたので、初めカサヒダタケかと思った。地上に生えているのですぐに違うと分かったが、ヒダを覗き込むまで種名は分からなかった。
 カサも柄も全体に紅色を帯びた灰色の粉が覆い、カサの周縁には内被膜の名残がきれいなフリンジ飾りを作っていた。
 ヒダの色が独特のワイン褐色で、この色さえ覚えれば同定は難しくない。小型で全体に暗色のきのこなので目立たないが、じっくり撮影するとなかなかきれいな被写体になる。  戻る

カンゾウタケ
(横幅 約6センチ)
2006.5.21 神奈川県平塚市・高麗山
 ゴールデンウィークを過ぎる頃になると、きのこファンはスダジイの大木の周りをぐるぐると回るようになる。黒っぽい大木の根際から生える、まるで真っ赤な舌のような形のきのこを探しているのだ。
 外国では古くから食用として親しまれていたようだが、日本では色や姿が馴染めないのか毒菌扱いされていたこともあったらしい。
 幼菌の時はスライスして水に晒し、生のままでサラダ風に楽しめる。少し大きくなったものはステーキのように焼いて食べると、まるで牛肉のような食感が味わえる。ただし、あまり大きくなると酸味が強くなりクセのある味になってしまう。  戻る

チャヒラタケ
(カサ径 1〜3センチ)
2006.5.21 神奈川県平塚市・高麗山
 ずっとこれを探し続けていた。今まできれいなチャヒラタケに巡り会えず、いい状態の群生を見つけるのはいつもクリゲノチャヒラタケの方だった。
 カサは真っ白で放射状の条線があり、わずかに透明感もある。クリゲノチャヒラタケもかなりカサ表面が白っぽい時があるが、ルーペで観察すると褐色の毛が見えるので見分けられる。本種にはまったく毛がない。
 今までに撮った本種の写真はどれもいい状態ではなく、資料館にも入れることができなかった。ようやくチャヒラタケ科の標準種である本種を掲載することができる。
 カサが白い時期は短く、褐色の胞子を被ってまるでクリゲノチャヒラタケのような外観になってしまう。  戻る

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