シリーズ <第35回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ダイダイガサ
(直径 3〜5センチ)
2006.6.3 神奈川県厚木市・七沢
 食用価値は低いが、写真のモデルとしてはとても優秀だというきのこがいくつかある。これもその1種で、図鑑によれば食毒は不明となっていて旨いという話も聞かないが、こうして色鮮やかな姿を見つけるとやり過ごすことができない。
 とうとうこの森林公園にもヒルが多くなり、この日もすでに2ヵ所もやられてしまった。足元を警戒しながらの撮影は気が散って仕方がないが、こんなきれいな状態ならそれも忘れて何カットもアングルを変える。
 時どきまったく色のない純白の本種を見つけるときがあるが、ルーペでカサの表面のトゲトゲや、柄の根元のササクレを観察すれば同定しやすい。  戻る

ムラサキハツ
(直径 約6センチ)
2006.6.4 神奈川県平塚市・高麗山
 マイフィールドの高麗山にある自称テングタケ通りの終点近くに大きなクヌギがあり、その付近では数種のベニタケ属やイグチの仲間をよく見かける。
 この日はまだきのこが少なかったが、そのクヌギの樹下にきれいな紫色のベニタケ属が生えていた。今までに見たことのない深い紫色でヒダと柄の白との強いコントラストが印象的だった。
 粘性が強いらしくてカサの砂粒が取れない。カサの所どころに黄色い斑点が見えるのも特徴のようだ。撮影後に味を確認するとまったく辛くない。よく似たカラムラサキハツとはこの点が違う。
 ベニタケ科のきのこはいい被写体になることが少ないのだが、これは色もスタイルも優れものでいい写真が撮れた。  戻る

キイロスッポンタケ
(高さ 8〜10センチ)
2006.6.11 静岡県富士宮市・高鉢
 見たかったきのこにやっと出会えたときの喜びは格別で、思わず大きな歓声を上げてしまう。
 黄色と白は目にも鮮やかで写真の被写体としては申し分ないのだが、付近一帯は独特のすえたニオイで充満している。とても記憶に残りやすいニオイのようで、この写真を見ていてもニオイの記憶が蘇ってくる。そのニオイで発見できたのだから文句は言えない。
 普通は黄色い頭部に緑褐色の粘液(グレバ)が付いているのだが、この日は雨が降り続いていて流れてしまった。
 それにしてもスッポンタケの黄色型にどんな意味があるのだろう。キヌガサタケにも同様に黄色型があるので、何かこの色に意味がありそうに思えてならない。  戻る

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