シリーズ <第36回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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フチドリコイノベニヒダタケ(仮)
(直径 約2センチ)
2006.7.1 神奈川県愛川町・八菅山
 2003年6月、平塚市の「びわ青少年の家」で初めて見つけて、憧れていたフチドリツエタケのあまりの小ささに愕然としたことがあった。
 ところが、城川先生に検鏡していただくとウラベニガサ科で、フチドリベニヒダタケに近い種類だとのことで更に驚いた。先生によると「Pluteus eugraptus」に合致するとのことで、仮称が付けられた。
 とても小さいがルーペを使って細部を見れば、誰もが感嘆の声を上げるほどの見事な細工(?)だ。ビロード状のカサは周縁部で細かくひび割れ、柄には一面に暗褐色の粒点がある。そして何よりもヒダのフチドリが見事だ。密なヒダが柄に離生しているため美しいカーブを描いている。強く印象に残る種類だ。  戻る

ホウキタケ
(全長 約7センチ)
20067.8 山梨県甲州市・大志戸
 今年初めての大志戸「木の実の里」だったが、まだ早かったようでいい被写体を見つけられなかった。一回りして車に戻ったが、ここまで遠征して「ドキッと」な写真がないのも悔しいので、もう一箇所だけ探してみた。
 遊具のある広場の長い滑り台付近に、枯葉に隠れるようにこれが生えていた。やっと「華のある」きのこに会えた。
 根元が太くて白いことや先端が紅色で細かく枝分かれしている点で、ホウキタケそのものだと思われる。しかし、そっくりの姿で何種類かあるらしく確定的ではない。ただ、こういうスタイルのものは食用になり味も優れているというのが定説のようだ。
 まだ小さなものだったが遠征の戦利品とした。確かに定説どおりだった。  戻る

ヤナギマツタケ
(カサの直径 6〜12センチ)
2006.7.30 神奈川県平塚市・JR平塚駅
 前日(29日)の夜、仕事帰りに駅のバス停で待ちながらふとプラタナスの木を見上げた。思わず大きな声を出しそうになった。今までにも小さなカサを見せていたが、今回はまるで絵に書いたような生え方だ。
 「今夜から富士山へ行ってビバークして、早めに戻ってこれを撮ろう・・・」くるくると頭の中でプランが出来上がっていった。
 ジャンプしてやっと届く高さだったのでカサの表面は見えないが、これこそが本種らしい姿なのだ。ヤナギやカエデの仲間に生えて、しっかりした歯応えと旨みのあるきのこなのでこの名前がある。マツタケの仲間ではなくオキナタケ科になる。
 大きなツバが褐色の胞子をいっぱい付けて垂れ下がる独特のスタイルで、同定しやすい種類だ。  戻る

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