シリーズ <第39回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2006年10月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

9月  MVPtop   11月

マイタケ
(幅 約20センチ)
2006.10.7
神奈川県横浜市・新治
 月1回の定点観察を始めてからもう5年ほどになるが、これを見つけることになるとは全く予想外だった。
 深山へと分け入り、シロの場所は家族にも教えないとまで言われる「舞茸」。見つけた喜びで思わず舞いたくなるという、きのこファン垂涎の的だ。
 ところが近年、横浜の森林公園や里山で時どき生えては人を驚かせている。
 思うに、マイタケもシイタケと同様のことが起こっているのではないだろうか。かなり高い山や深い森へ行っても、きっと純粋に天然のシイタケはないだろうと言われる。栽培が普及して幅広い環境に適応できるタイプが増えているのではないか。
 これも少しいただいて焼いて味わったが、市販のものとそっくりの味だった。  戻る

ホコリタケ
(直径 1.5〜2センチ)
2006.10.15
神奈川県横浜市・四季の森
 ホコリタケという名前も外見もあまりパッとしない仲間がある。ところがこれがけっこう面白い。数冊の図鑑を見比べても、どことなく雰囲気の異なる写真が載っている。
 もちろん成長過程で変化することはあるにしても、表面の色やトゲの様子がかなり違っている。どうやらホコリタケもいくつかの種類に分けられそうな感じだ。そんなことを大雑把に考えながら、見つける度に撮影をしている。
 この写真は標準的なタイプだと思うが、ちょうど天頂に穴を開けるところだったので興味を覚えた。中央左の1個だけが開いていて、他は今まさにかさぶたのようなものが取れそうになっている。
 この後、全部が一斉に雨や風によって胞子を噴き出すことになるのだろう。  戻る

ヒメロクショウグサレキン
(直径 2〜3ミリ)
2006.10.22
神奈川県平塚市・霧降の滝
 斜面にある朽ちた切り株に、やや干からびた青い粒が無数に見えた。「緑青グサレだ。」と、一部を剥ぎ取ってルーペで見ると、子嚢盤の面が白いヒメロクショウグサレキンだった。よく見るとまだ新鮮なものや形の面白いものがあり、超クローズアップで撮影することにした。
 道幅の狭い散策路だったので、通りかかる人がけげんな顔をしていた。それぞれが2〜3ミリしかないカビのようなものを、何を懸命に撮っているのか、不可解に思うのも当然だろう。
 しかし、まるで花びらのような形をした、この神秘的な色にとても魅力を感じる。きのこそれぞれが持つユニークな色にどんな意味があるのか、いくら考えても分からない。  戻る

9月  MVPtop   11月