シリーズ <第40回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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イヌセンボンタケ
(直径 2〜7ミリ)
2006.11.4
神奈川県真鶴町・真鶴半島
 倒木上に小さなカサがビッシリ生えている光景は、ある種の迫力を感じる。真っ白な幼菌と黒い胞子を被った成菌が、まるでせめぎあいを演じているようなシーンを撮った。
 この写真を見て、ある疑問が湧いた。幼菌の上にはなぜ胞子が載っていないのか。きのこの胞子は常に放出されているのではなく、成熟した後に何かの刺激によって一斉に飛散するらしい。右側の成菌の上にはたっぷりと載っているが、左側の幼菌がこの大きさになるまでは放出されていないのだ。
 一斉に黒い胞子が放出されるシーンは、きっともうもうと煙が舞うように見えるだろう。そんなシーンも撮ってみたいものだ。  戻る

ダイダイサカズキタケ(?)
(直径 3〜5センチ)
2006.11.12
神奈川県平塚市・高麗山
 上から見下ろしたときはオレンジ色のユキラッパタケという印象だった。カサがいくつにも裂けた老菌もあったのでそう思った。ところが下から見ると長い柄がある。
 いくら考えても今まで見たことのないきのこだった。付近にあった幼菌の形から「日本のきのこ」(ヤマケイ)のダイダイサカズキタケに行き当たった。ヒナノヒガサ属となっているが、学名をネットで探ると今はヒダサカズキタケ属に分類されているようだ。
 この図鑑以外には記載がないのはなぜだろう。よほど発生がまれなのか、こんな遅い時季に生えるので観察記録が少ないのか。
 後日、高麗山の別の場所でも幼菌を見かけた。カサのオレンジ色はもっと濃くてとてもよく目立つ。※ロールオーバーで掲載。戻る

ヒラタケ
(直径 2〜5センチ)
2006.11.26
神奈川県平塚市・高麗山
 もう何年も前、高麗山の地獄沢にはきれいなヒラタケが群生する大きな倒木があった。何度か撮影と収穫を楽しむことができたが、いつしか腐朽が進んで見られなくなった。
 以来、時どき見つけることがあっても小規模なものだったが、久しぶりにまとまった数の群生を見つけることができた。
 エノキタケと並んで冬を代表する優秀な食菌で、じっくり煮込む料理に適している。大きく開いた成菌より、カサが濃い灰色のこのサイズの方が味がいいようだ。
 この日は撮影中に通りかかった3人を驚かせてしまったので収穫を譲ることにしたが、この倒木ならまだしばらく発生を期待できそうだ。  戻る

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