シリーズ <第41回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2006年12月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

11月  MVPtop   1月

キヒラタケ
(直径 4〜6センチ)
2006.12.2
静岡県富士宮市・西臼塚
 今年は季節が後ろへずれたようで、12月に入ってもまだ富士山へ車で入ることができた。今年最後の富士山はやはりお気に入りの西臼塚へ。
 被写体にいいきのこを探しながらも、頭の片隅には「ムキタケの群生」のシーンに期待していた。大きなカエデの倒木に遠くからこれを見つけた時は「オオッ!」と思ったが、近づくにつれて橙色のヒダが見えてきた。
 それでも、新鮮なキヒラタケは久しぶりで、いい写真が何枚も撮れた。有毒ではないのだが、噛み切れないほど強靭でおまけに不快臭がありまずいとのこと。
 まあ、いい写真が撮れればいいのだ・・・と、負け惜しみをつぶやく。  戻る

ツチグリ
(外径 4〜5センチ)
2006.12.3
神奈川県横浜市・四季の森公園
 ツチグリの最盛期はいったいいつなのだろう。年中見かけるきのこだが、まだ球形のままの幼菌だったり、すっかり干からびて丸まってしまったものが多い。
 この日は付近にもいい状態のものがあった。メルヘンぽく「昨夜降った星ぼし」などと表現されたりして、なかなか人気者のきのこのようだ。
 外側には不思議なパターンのひび割れが広がり、内側の胞子の袋は銀色の毛が生えて光っている。
 湿度の変化によって外皮が開閉することは有名だが、閉じるときに自らの腕で内包を突き刺しているのを見たことがある。雨の日に開いて雨粒が当たるのを待つらしいことなど、いろいろ面白いメカニズムを持っているきのこのようだ。  戻る

ツバキキンカクチャワンタケ
(直径 約1.5センチ)
2006.12.23
神奈川県厚木市・飯山観音
 「冬きのこ」のエノキタケやヒラタケをあまり見かけないと思っていたら、春によく見る本種を見つけた。今年は12月下旬まで紅葉が見ごろだったり、雪国でも一向に雪が降らないなど、かなり季節のズレがあるようだ。
 かなり大き目のものを見つけたが、裸地に生えていて写真が美しくない。そこで「タウンミーティングに対抗」という訳ではないのだが、付近から花や葉を拾い集めて目いっぱいの「ヤラセ」をやってみた。
 湿度の高い日には盛んに白い胞子を噴出しているのを見かける。2001年3月に初めて本種に出会い、画質の悪い動画を掲載したのもこの場所だった。以来、年中ツバキの樹下を覗く習慣になった。  戻る

11月  MVPtop   1月