シリーズ <第43回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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アナタケ
(広葉樹に背着)
2007.2.10
神奈川県平塚市・高麗山
 少し前まで「アナタケを撮ることはないだろう」という漠然とした考えが意識の中にあった。枝に付いたまるでカビのような姿は被写体としての対象外であった。
 ところが「写真資料館」の掲載種数が次第に増えてくると、一度は諦めていた「自分なりの図鑑」が形になってきた。となると、アナタケも状態のいい写真が欲しくなる。
 で、とうとう撮ることになってしまったのだ。「硬いきのこ展」の準備を進めていくことと相まって、硬質菌も目を向けてみるとなかなかどうして興味深い世界なのだ。
 どんな種類であれ、幼菌や新鮮な状態の時はいい被写体になってくれるものだ。これからもなるべく注意を向けて、意外な一面を捉えてみたいと思う。  戻る

タバコウロコタケ属
(カサ幅 4〜7センチ)
2007.2.11
神奈川県横浜市・四季の森公園
 タバコウロコタケ科というのはサルノコシカケ科に比べて、褐色の粉っぽい乾いた質感を持つグループという印象が強かった。そして、なぜか標準種として「タバコウロコタケ」というきのこが存在するという意識が弱かった。考えてみれば「ウロコタケ」という名前なのだから、ヒダも孔もない種を指している。
 この日、柵の木材から生えている鮮やかなオレンジ色の本種を見つけて、やっと「タバコウロコタケ」の存在を知った。
 図鑑の記載を読むと「マツノタバコウロコタケ」という平凡な種に符合する部分が多いが、大きさがあまりにも違いすぎる。数冊の図鑑では同定することができなかったが、なかなか華やかな一面も持っている種類なので今後も気にかけておきたい。  戻る

「硬いきのこ展」
(展示種数 60種)
2007.2.11〜2.25
神奈川県横浜市・四季の森公園
 一昨年と昨年の各々9月に新治市民の森の定点観察仲間で「きのこ写真展」を行い、今年は冬の間にちょっと趣向を変えて「硬質菌」の実物展示をやった。
 注意して観察をしてみると、身近な所でもずいぶんたくさんの硬質菌があることを改めて知った。
 ただでさえ地味な存在の硬質菌だから、標本を並べるだけでは関心を持ってもらえないからと、「面白クイズ」や「香り体験コーナー」など工夫を凝らした。
 食用になるものなどほとんどない。「ドキッと」する華やかさも滅多にない。などなど、何かと敬遠されがちな硬質菌に、今回はちょっと「市民権」を持たせることができたのではないだろうか・・・と、自画自賛。戻る

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