シリーズ <第44回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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チャカイガラタケ
(カサ幅3〜4センチ)
2007.3.3
山梨県富士吉田市・富士山北麓
 エゴノキタケやウチワタケ、それに本種などはサルノコシカケの仲間の中でも、かなり色や模様が変化に富み美しい種類だ。
 とくにチャカイガラタケはとても同種とは思えないほど、色の傾向や環紋のパターンに変化が多い。灰色が多かったりほとんど全体が赤紫だったり。
 そして今回はまた、今までに見たことがない色で枝に並んでいた。ある菌友いわく「まるで番傘を並べて干してあるような」は、言い得て妙だと感心した。確かに古い街道沿いのベンガラ格子の町並みに、こんな番傘が並んでいたような・・・。
 それにしても、このツヤのある濃紺の縞模様は、今まで見た本種にはなかったように思う。「硬質菌も侮れないゾ」は正直な感想だ。  戻る

ニクイロアナタケ
(広葉樹に背着)
2007.3.11
静岡県伊東市・一碧湖
 先月の「アナタケ」ではかなり遠慮勝ちに表現したが、「美しいきのこ写真」を目指す以上は「アナタケは撮らない」と、半ばポリシーのように決めていたところがあった。
 ところが「写真資料館」が充実するにつれて撮らずにはいられなくなった。そして、当然のごとくよく似た「ニクイロアナタケ」も、見分けるポイントを明確にするべく撮影した。
 今年の冬は特に「硬いきのこ展」をする影響もあって、ずいぶん硬質菌やフォトジェニックではないきのこにカメラを向けた。分かりにくいという苦手意識を持っていたが、少しずつそれも薄れ、いろんな種類が分かるようになってきた。
 その結果意外にも、今まで以上に「美しいきのこ写真」を撮る意欲が強くなったことも確かだ。もう、アナタケを撮ることはないかも知れない。  戻る

アクニオイタケ
(高さ約3センチ)
2007.3.25
神奈川県真鶴町・真鶴半島
 デジカメ一眼レフをEOS Kiss-Xに変えてから、レンズ(17-40L)との重さのバランスが不満だった。一方で、もっと被写体に近づいてなおかつ背景が広く写る、超ワイドレンズが欲しいと思っていた。そして、思い通りの魚眼ズーム(10-17)を買った。
 里山や公園では背景に入れたくないものが多いので、クローズアップで撮る方が好きだったが、富士山の雄大な樹林や真鶴半島の巨木群などは何とか広く写しこみたいものだ。
 新調レンズはそれを充たしてくれるものだった。レンズ前2.5センチまで寄れて、対角線方向で最大180度の画角がある。ただ、その広い視野に慣れないため、予定外のいろんなものが入り込む。左右に置いたミラーや上にかざした自分の手まで。戻る

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