シリーズ <第45回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヒメワカフサタケ
(カサ幅4〜6センチ)
2007.4.1
神奈川県横浜市・新治市民の森
 月一回の定点観察会は原則として第1日曜日としている。4月はたまたま1日だったので、暖かい陽射しはあってもきのこの種類はとても少なかった。
 もう探索も終わり近くになった時、いつもイグチ科などの興味深い種類が見られる斜面に、明るい褐色の立派なきのこが見つかった。季節から考えてベニタケ科だろうという意見が多かったが、何となく雰囲気が違う。付近にもう2本あって、1本は写真のように柄が縦に裂けていたのでベニタケ科ではない。
 なんとヒメワカフサタケだった。こんな早春に立派な3本を観察できるとは、まるで嘘のような出来事・・・ん?今日はエイプリルフール!いや、これは本当だが、仲間の嘘にはまんまと引っかかってしまった。  戻る

カニタケ
(直径5〜12センチ)
2007.4.8
神奈川県平塚市・高麗山
 4年ぶりの再会。しかも、定点観察のメンバーとも噂をしていた数日後の発見だった。噂をすれば影が立つとはこのことか。
 こんなきれいなチャワン型になるとは知らなかったので初めはオオチャワンタケかと思ったが、付近に群生している大型のものは平らな円盤に広がっていた。
 そして何より特徴的なのが中心から放射状に伸びる隆起。ちょうど「青筋立てて怒る」という表現がぴったりの、血管が浮き出ているような印象だ。
 資料によれば胞子を観察することで容易に同定できそうなので、標本を採取しておいた。最もいい状態の写真が撮れたので、検鏡によって確実な同定ができれば心強い。
 まれな種類に出会うだけでも幸運だが、それのいい状態というのは嬉しいものだ。戻る

キチャワンタケ
(直径 1〜4センチ)
2007.4.8
神奈川県平塚市・高麗山
 今年はキチャワンタケがたくさん生える条件が揃ったようだ。あちこちの公園や里山で大小いくつも見ることができた。
 内側の子実層面は鮮やかな山吹色〜オレンジ色で、外側は明るい黄色で青緑色の粉を付けている。触れたり傷つけると濃い青色に変色する。
 日に透けた色がとてもきれいだったので思い切り近づいて、地面に貼りついて撮影していたら、ハイキング中の女性に「どうしたの?大丈夫?」と声をかけられた。行き倒れと間違えられたのはもうこれで何度目だろう。心配をかけて申し訳ないと思うのだが、もし都会の真ん中なら遠巻きにしてかかわらない人が多いに違いない。自然を愛でる人の温かい心が嬉しい。  戻る

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