シリーズ <第46回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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フサヒメホウキタケ
(枝の長さ1〜1.5センチ)
2007.5.12
静岡県函南町・函南原生林
 タイトルの「VALUABLE」は直訳すれば「価値のある」ということ。本HPにとって最も価値あることはやはり「美」である。きのこが見せる「妖しい美しさ」を表現したい。
 今まで何度も本種を撮っているが、こういう抽象彫刻のような捉え方をしたのは初めてだ。枝分かれして垂直に伸び上がり、上の方が太くなってまた分かれる。そして、何とも意味あり気な手の平のような先端。群集がもろ手を挙げて何かを訴えている・・・それほど強い主張でもなさそうだが、喜びなのか怒りなのか。
 新鮮な時は真っ白で次第に褐色を帯びていく。ちょうどその境目辺りで、濃淡も陰影も微妙な変化が面白い。細かく部分を眺めていると、きのこを見ているということを忘れてしまいそうになる。  戻る

ニセヒメチチタケ
(直径2〜4センチ)
2007.5.12
静岡県函南町・函南原生林
 次に本HPにとって価値あることは、より多くの「種」を撮ること。かつては付随的なものだったはずの「図鑑的」な要素も、種類が増えるにつれて「価値」が高まってきた。
 ブナの巨木の下で、落ち枝に隠れるように生えている褐色のカサを見つけた。ヒラタケ型のように思えたが枝を除くと、しっかりした柄を持つきのこだった。初めて見る種類なのでまず撮影。標本撮影用に採取すると白い乳が出て「チチタケ属」が判明。
 カサの中央がへこみ細かなシワがある。白い乳液は変色せず辛味もない。図鑑を見るとすぐに本種に行き当たった。
 これでまた1種を追加することができた。少しまれな種類なのだろうか、あまり観察されていないようだ。  戻る

アセハリタケ
(カサ幅 5〜7センチ)
2007.5.13
神奈川県平塚市・高麗山
 もう1種、初めて見るきのこを撮った。朽ち果てて樹種も分からない切り株に、見慣れない硬質菌が生えていた。
 「硬質菌はもういい」とやり過ごそうとしたが、新鮮な状態だったので同定だけでもしようと思った。ところが、観察すると今まで見たことがない種類だと分かった。
 カサは肉厚で上面が剛毛のようになっている。裏面をみると長さ5ミリほどの針が並んでいる。かすかな果物様のニオイがあり、採取すると強い粘性の液が手に付いた。
 フィールド図鑑で本種にぴったり符号した。平塚市博物館の標本目録にも1例の記載があり、それにはマツの倒木に発生とある(図鑑では広葉樹)。
 これはさらにまれな種類で、他の図鑑には載ってない。  戻る

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