シリーズ <第48回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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オオダイアシベニイグチ
(カサ径 約6センチ)
2007.7.9
山梨県富士河口湖町・富士山北麓
 ぜひ見つけたいと思っているきのこを、狙い通り撮ることはこの上ない「快感」である。ところが見つからず一旦は諦めたきのこを、思わぬ別の場所で見つけるのはさらに感動が大きい。
 「あったー、オオダイや!」・・・Galleryでは標準語で書いたが、正しくはもちろんこう叫んだ。
 オレンジ色をベースに紅色をぼかし入れる。深い森の中でこれを見たとき、そのカサの色をどう表現すればいいのか言葉に窮した。命名者も恐らく苦し紛れに発見場所の「大台ケ原」を付けたのではないだろうか。(今年亡くなられた本郷先生により報告され、学名にも「odaiensis」が付けられている。)
 今月の、というより今年の強く印象に残るきのこの一つになった。  戻る

ムラサキヤマドリタケ
(高さ 8〜9センチ)
2007.7.15
神奈川県平塚市・高麗山
 これもまた不思議な出会いだった。もう10年以上も昔、広島にいた頃に2度ほど本種を見つけていた。ところが2度とも単生していておまけにひどい虫食い状態。まったく写真にならなかった。
 以来、見つけることができない「縁の薄い」存在だった。いつか必ずいい写真を・・・とひそかに思っていたが、なんとそれがつい目と鼻の先に生えているとは驚いた。
 この日、大型台風が向かってきて探索は諦めていたが、嵐の前の静けさで空は明るく風もない。となればじっとしていられず、歩き慣れた高麗山へ行った。
 残念ながら前日の激しい雨で傷んでいるものが多く、これもたっぷり泥を被っていたが、シロを見つけたことだけでも大収穫だ。できれば黄斑の入ったものを撮りたい。  戻る

ムラサキホウキタケ
(高さ 約2センチ)
2007.7.29
神奈川県平塚市・高麗山
 続いてこれも紫色・・・いや、これはそんな単純に「ムラサキ」と言ってしまいたくない。
 このところ里山が賑やかなので7月最終日も高麗山を探索した。きれいなチチタケを撮っていると足元の土から何やら紫色のモヤモヤしたものが見えた。踏まないように注意してよく見ると、なんと生えたばかりのムラサキホウキタケ。こんな低地に生えるとは知らなかった。
 薄暗い場所だったのでピント合わせができず、何度も撮り直した。この何とも表現しようのない微妙な色合いを、どうしても撮りたかった。
 気品ある高貴な紫と見るか、艶めかしい妖しい色と受け取るか、人によって様々だろうが、単純に「きれいな紫」で済ませたくないことだけは確かだ。  戻る

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