シリーズ <第53回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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キヒラタケ
(カサ径 1〜3センチ)
2007.12.15
神奈川県大和市・泉の森公園
 名前の通り黄色いヒラタケで、新鮮な時はもっと鮮黄色をしている。
 こうしてほとんど背着した生え方をしていると、ヒダハタケ科のサケバタケやイチョウタケに似ているが、カサの表面に粗い毛がたくさん生えているので見分けられる。
 晩秋から冬にかけて見られる種類で、被写体の少なくなった季節に撮影を楽しませてくれる。この日もまったくきのこが見つからず、枝や枯葉を積み上げた場所を丹念に探して、やっとこれを見つけた。もうすでに萎れ始めていたが贅沢は言えない。
 名前はヒラタケでも硬くて食用には向かない。おまけにクセのあるニオイまであって、その点でもサケバタケなどに似ているが毒はないようだ。  戻る

センボンクヌギタケ
(カサ径 5〜10ミリ)
2007.12.23
神奈川県平塚市・霧降の滝
 小さな川のほとりに間伐材を積み上げた所があって、ほとんどが針葉樹なのできのこは見つからなかった。そこで広葉樹を目当てに丁寧に探すと、シダの葉に隠れるようにセンボンクヌギタケが群生していた。
 上から見つけたので灰色の濡れた球がいくつも並んでいるように見えた。シダを払い除けて下から覗き込むと、とても新鮮な状態だった。
 ただ、場所が狭くて三脚が入らない。陰になってかなり暗いので、手持ち撮影も無理。仕方なく付近にあった手頃な木を集めて、適度な高さの台を作り、その上にカメラを置いて撮影した。20秒露光でもF18しか絞れず、ピントが浅いのが残念だ。
 これも極寒の中でも生える種類で、雪を被った状態でも元気に生えている。  戻る

キクラゲ
(カサ径 1〜4センチ)
2007.12.24
神奈川県平塚市・高麗山
 ここには華やかなツバキキンカクチャワンタケの写真を入れるつもりだった。しかし、昨年の12月MVPを見て3種のうち2種まで同じなので驚いた。季節がら仕方がないことだが、今回はあまり登場しない種類に変更した。
 食材としてよく知られているキクラゲは、漢字で「木耳」と書く。この写真を縦にして見ると誰もが「なるほど」と納得することだろう。
 プリプリした食感が身上でどんな料理にもよく合う。きのこ自体に味のクセがなく煮込んでもしっかり歯応えが残る。
 この仲間には有毒種がないので、一度覚えてしまえば初心者でも安心して採取できる種類だ。「きのこ狩り」入門の食菌として最適だろう。  戻る

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