シリーズ <第59回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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シロヒメツツタケ
(高さ 約1ミリ)
2008.6.1
神奈川県横浜市・新治
 「ああっ、パイプタケだ!」
一度は見たいと思っている種類に出会うととても興奮して、つい叫んでしまったが・・・。
 定点観察の仲間が、シロホウライタケらしい小型菌の生えた朽ちた木片を見せてくれた。しかし、その反対側には白い塊があり、最初は変形菌に見えた。
 ルーペで覗くと小さな白い筒が並んでいた。思わず「パイプタケ」と叫んでしまったが、メンバーが図鑑で調べて「シロヒメツツタケ」の方だと分かった。
 それにしても主な変形菌より小さいこんな極小菌が、球形だとコウヤクタケ科のパイプタケで筒状だとフウリンタケ科の本種になるのは不思議なことだ。
 目一杯の近接撮影をして、さらに部分拡大をしてやっとこの大きさ。カメラ撮影の限界だろう。  戻る

ナナイロヌメリタケ
(カサ径 1〜2センチ)
2008.6.14
山梨県富士河口湖町・富士山北麓
 虫や花ならいざ知らず、地味な色調や単一色が多いきのこでこの名前は珍しい。ベニタケ属のカワリハツもそうだが、カサや柄の色に変化が大きい。
 この黄橙色をはじめクリーム色、ピンク色、オリーブ色さらに黄色や灰色まであるらしい。この日はこの2本だけしか見つからなかったが、各色がまとまって群生していたらさぞかし見ものだろう。
 カサや柄の表面に強い粘性がある・・・いや、粘性というのはヌメリの意味だとしたら、本種はそんな生易しいものではない。まるで粘着テープに触れたような感じで、簡単には離れてくれない。
 つまり色の変化のせいで同定できなくても、触ってみればすぐに分かるという種類だ。珍しい種類らしくて、見たのは初めてだ。 戻る

ゴムタケ
(直径 1〜1.5センチ)
2008.6.22
神奈川県相模原市・木もれびの森
 今までに数回見つけてはいたが状態がイマイチでいい写真がなかった。「キノコの会」の会員、Uさんにとてもいい状態を教えていただいた。
 あまり腐朽の進んでないコナラの材から、オオゴムタケを小型にしたようなきのこが生えている。大きさは1〜2センチほどで、窪んだ円盤の表面は褐色から黒になり、形も次第に反り返って真っ黒い円盤状の塊になる。
 オオゴムタケに外見は似ているが、同じ子嚢菌でも科が違う。オオゴムタケがクロチャワンタケ科で本種はズキンタケ科になっている。形だけでなく中の組織も透明感のあるゼラチン質だから、これこそ他人の空似ということになるのだろう。Uさんのおかげで資料館に1種増えた。  戻る

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