シリーズ <第61回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウスタケ
(高さ 5〜7センチ)
2008.8.2
山梨県富士吉田市・富士山北麓
 単に胞子を作り拡散させるという目的のために、きのこはなぜこれほどまでに多様な姿に進化したのだろう。臼というより漏斗型、あるいはコーン型という方がぴったりだ。
 富士山の北麓にある広大なウラジロモミの植林地ではたくさん見られる種類だが、ちょうど撮影にいい状態はなかなか見つからない。これは色も鮮やかでいいバランスに寄り添って生えていた。外側の白いシワヒダの面で胞子を作る。
 胃痛などを起こす有毒のきのこだが、毒性は弱く煮こぼせば食べられるらしい。しかし、きのこ狩りの対象外のようだからそこまでするほど旨くないのだろう。そういえば、虫にかじられているものもあまり見かけない。  戻る

ホウライタケ属
(高さ 約2.5センチ)
2008.8.16
静岡県富士宮市・富士山南麓
 別のきのこを撮影しながらふと足元を見ると、落葉に埋もれるように小さな赤いカサが見えた。撮影後に採り上げてみると、薄い枯葉の表面から長い柄を伸ばして、真っ赤なカサを広げていた。
 カサの直径が数ミリしかないが、その全体は鮮やかな紅色をしている。外見の雰囲気だけから大胆に決め付けると、ホウライタケ属あるいはクヌギタケ属・・・この柄の硬さから考えると前者になりそうだ。
 何か手掛かりが見つからないかと手持ちの図鑑やネット上を探してみたが、全く分からなかった。しいて仮称を付けるなら「ヒイロオチバタケ」といったところだろうか。ぜひ記憶に留めて追いかけたい種類だ。
 根元をよく見ると1ミリにも満たないような幼菌が並んでいる。  戻る

イボコガネテングタケ
(高さ 約4センチ)
2008.8.17
神奈川県平塚市・霧降街道
 局地的な集中豪雨は多発しているが、どうした訳か神奈川県ではほとんど発生しなかった。当然、野山の地面はカラカラに乾き、きのこの気配すらも感じられない。
 せめてもの気休めに沢沿いの散策コースを選んだが、結果はあまり芳しくなかった。もうこの辺りで引き返そうとしたその時、沢へ下る斜面に黄色いカサが見えた。
 まさかこれに出会えるとは思ってもみなかった。なかなか見られないまれな種類で、本種としては小ぶりながらもとても新鮮な1本だった。
 普通は黄色いツバが柄に残るが、半分ほどがカサの縁の方に付いていた。カサも柄もツバも黄金色の粉をまぶしたように美しく、根元のツボの外側だけが白い。
 沢沿いの湿度は気休めではなかった。  戻る

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