シリーズ <第63回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ハタケシメジ
(カサ径 2〜3センチ)
2008.10.5
神奈川県横浜市・新治
 喜ぶべきことなのだが、今年は台風がやってこない。雨が少ないためか一年で最もいいシーズンにいい写真が撮れなかった。
 そこで今月のMVPは表面の色についてまとめてみた。最初はハタケシメジ。これを見た瞬間に「旨そう!」と思った自分にちょっと驚いた。
 客観的な目になってこれを眺めると、およそ食欲とは縁遠い「薄汚い」きのこにしか見えない。本当にこれが食べられるのか?と抵抗を感じるのが普通の感覚に違いない。
 しかし、何度もハタケシメジを食べてその旨さを知っている者なら、こういう状態の時が身の締まった食べ頃であることが分かる。サイズも一口大なので切らずに料理できて、目でもきのこの姿を楽しめる。きっと、美味しさもアップして感じることだろう。戻る

ニクアツベニサラタケ
(直径 約2センチ)
2008.10.12
神奈川県平塚市・高麗山
 普通は赤紫や小豆色をしていることが多いニクアツベニサラタケだが、ここ高麗山では色のレパートリーが実に多彩だ。最初に見つけたのが明るいピンク色で、その後は真っ白なものを何度も見ている。学名をネット検索して外国のサイトを見た時に、全部が同種の色の変化であることが分かった。
 そしてこの日、美しい濃淡のぼかし模様を持った真っ赤なタイプを見つけた。図鑑には成熟して模様が現れる場合があるという記載もあったが、これを見る限りごく小さな幼菌から模様が現れている。
 いったいこの色の変化や不思議な模様はどうして起こるのだろう。そしてそれにどういう意味や効果があるのだろう。このナゾを解く手掛かりも糸口も全く見い出せないが、いつか答を知りたいものだ。  戻る

アケボノサクラシメジ
(直径 約7センチ)
2008.10.18
山梨県富士河口湖町・本栖湖
 初めて見る種類であっても、その外見から名前が浮かび上がってくるのはとても嬉しいものだ。
 高さ10センチあまりもある大きな白いきのこを見つけたが、今までに見た記憶がない。ところが、カサの表面の淡いピンク色を見てふとアケボノ・・・?と、ごく自然に名前が浮かんできた。フィールド図鑑には載ってなかったが、他の図鑑で正しいことが確認できた。
 残念ながら付近を探してもこれ1本だけだったが、この独特の色合いはとても本種らしい表情だった。そして、これに「あけぼの」という名前を与えた命名者のすばらしい感性に、心から敬意を贈りたい気持ちになった。まあ、少々大げさだと言われそうだが、本当にそういう感情が湧いた。  戻る

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