シリーズ <第68回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2009年3月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

2月  MVPtop   4月

ミノタケ
(カサ幅2〜4センチ)
2009.3.1
神奈川県横浜市・新治市民の森
 今までキノコの会の野外勉強会でも何度か採取されていたミノタケだが、実物を見ても図鑑を眺めてもイマイチ特長がつかめないでいた。
 この日、いつもの定点観察でとてもいい状態のミノタケが見つかり、よく見ると確かにカサの表面に「蓑」のようなササクレ状の模様が見えた。「なるほどこれが蓑茸か」ときわめて素直に納得することができた。
 その甲斐あってその後は、他の公園でも2度見つけることができた。
 それにしても定点観察仲間の口からは「みのたけ六尺」とか「みのたけ三寸」とか・・・、尺貫法の単位しか出てこない。耳になじみのフレーズとはいえ「古いなぁ」と感じながら、自分の頭にもそれしか浮かんでいなかったことに気づく。  戻る

トガリアミガサタケ
(高さ 約6センチ)
2009.3.15
神奈川県平塚市・高麗山
 あちこちのHPでトガリアミガサタケが登場し始めていた。いくつか発生場所の候補は思いついたのだが、それ以上に見たい種類があったので高麗山を歩くことにした。
 「ここではトガリを見てないから」と諦めの心境で探索を開始したが、それでも目的のきのこは撮影できたから「良し」として、車に戻るコースを歩いていた。
 その時、この春初めてのウグイスのさえずりを聞いた。春はもう足元まで来ているのだと実感した。そして何と、その足元の草の間に小さなトガリアミガサタケの頭を見つけた。まるで作り話のような展開にびっくりしながらも、慌てて撮影開始。ふと目を上げるとさらに大きなこの1本もあった。
 今まで見過ごしていたのか、タイミングが悪かったのか、それとも本当に初の発生か?  戻る

キツネノワン
(高さ2〜3ミリ)
2009.3.22
神奈川県平塚市・高麗山
 この前日、伊豆の一碧湖まで足を伸ばしながら、手応えのある菌果は得られなかった。ただ、いろんな草花を目にした中にショカツサイがあったので、高麗山のキツネノワンがそろそろ出るか・・・と連想された。
 そしてこの日、地獄沢を歩きながらヤマグワのある場所に来た時、まだ早いだろうなと思いながら探してみた。案の定なにも見つからず諦めかけた時、まるでちぎれた草の茎のような小さな筒が3つ見えた。
 しゃがんでよく見ると紛れもなくキツネノワンの幼菌だった。いつも外されてばかりの読みが今回は珍しく的中した。3月に見つけたのは初めてだった。
 目が慣れると他にもいくつも見つかり、今年もたくさん発生しそうな様子だった。そして、ショカツサイが目安になると確信した。 戻る

2月  MVPtop   4月