シリーズ <第71回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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マツカサタケ
(高さ約3センチ)
2009.6.7
神奈川県真鶴町・真鶴半島
 マツカサに生えるきのこだから「マツカサタケ」・・・こんな単純で直截的な名前だとは意識していなかった。
 今年最初の会の勉強会で、きのこ一家のUさんご夫妻が「マツカサから生えるカサの裏が針のきのこを見つけた」と言うから、思わず「ずっと見たいと思っていた・・・」と叫んだが名前が出てこない。図鑑を開いてストレートな名前にまず驚いた。
 それを聞いてその後3個も見つけたのが I さんで、これは中でも最もいい姿の1個。まるでマゴジャクシをミニチュアにした感じで、カサも柄もビロード状の毛に覆われている。カサの裏は白い針がビッシリ並んでいる。
(ロールオーバー画像は裏面)
 今まで当地での勉強会で採取記録がないらしいので、発生はまれなのだろう。
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不明
(カサ径 約5センチ)
2009.6.14
神奈川県横浜市・新治市民の森
 定点観察会の終盤、疲れた足を引きずっていたら、「謎のきのこ発見」の声。薄暗い雑木林の中で倒木の下の地面から、きれいなきのこが生えていた。
 一見してハラタケ属かと思ったが、柄に縦の繊維紋がはっきり見えるので違うような気もする。ヒダは白からややピンク色を帯びていた。
 カサ表面に広がるココア色のひび割れ模様は、中心部分では密集してまさにココアの粉を載せたような状態だ。
 カサの広がり方も独特で、幅1センチずつほどが階段のように段差を持っている。これはこの種の特徴のような気がする。
 付近を丁寧に探したが幼菌などはなく、この1本だけ。不明種というのは往々にしてそういう状況が多い。記憶に留めておきたいきのこだ。  戻る

コキイロウラベニタケ
(カサ径 約1.5センチ)
2009.6.20
静岡県沼津市・市民の森
 他のサイトや仲間が撮った写真を見るたびに、いつかはきれいな写真を撮ってやろうと狙っていたが、だいたい芝生できのこ探しをすることがないのでずっと出会えないでいた。
 この日は駐車場へ戻るコースを間違えて広い芝生広場を突っ切ったところ、まずオオヒメノカサを見つけた。そして、その後間もなく、待望の対面となった。
 残念ながら疎らに広く生えていたので、いい構図を決めることができなかったが、この何とも表現の難しいカサの色だけはシッカリ撮っておこうと思った。
 「濃色(こきいろ)」とは素晴らしいネーミングだ。濃い赤紫に黒い粒を塗り重ねたような色。こんな小さなきのこだが、じっと見ていると「高貴」なものを感じる。いい色だ。いつか必ず「Gallery」を飾りたい。  戻る

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