シリーズ <第73回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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シワチャヤマイグチ
(カサ径 約8センチ)
2009.8.15
山梨県富士河口湖町・富士五湖周辺
 肉眼での同定がとても難しいイグチの仲間にあって、これほど一目瞭然という種類も珍しい。・・・というより好ましく思う。
 見つけたときに真っ先に思ったことは「これで資料館の疑わしい写真を差し替えられる」だった。その意味でも好ましい。
 それにしてもこの深いレリーフは何のためだろう。改めて模様を眺めてみると、何となく人物像や動物が描かれているように見えて愉快だ。
 ブナやミズナラを好むようだから、やはり少し標高を上げないと見られないきのこかも知れない。この日は幼菌も含めて4〜5本見つけたが、いずれも単生だった。カサの表情がどう変わっていくのか、ぜひ幼菌と並んだ写真が撮りたいものだ。 戻る

ヒゴノセイタカイグチ
(高さ 約4センチ)
2009.8.15
山梨県富士河口湖町・富士五湖周辺
 その昔(1984)、熊本県で1本だけ採取され、故本郷先生によって名付けられた。ところがその後、長く発見されないまま「幻のきのこ」とさえ呼ばれていた珍種。
 今では関東でも何ヵ所かで観察されているようだが、かなりまれであることには変わりない。
 にも関わらず、「遊々きのこ」のフジタケさんはこのところ毎年のように、迫力満点の美しい写真を撮っている。場所を教えていただき撮影に向かった結果、何とか幼菌を撮ることができた。
 カサに比べてとても柄が長く、強く隆起した縦長の網目に紅色〜オレンジ色の美しいグラデーションを描く。たった4センチだがその迫力の片鱗は伺える。
 この次の目標は成菌。それも複数本が並んだ写真・・・欲張り過ぎか?  戻る

ススケヤマドリタケ
(カサ径 約6センチ)
2009.8.15
山梨県富士河口湖町・富士五湖周辺
 白状すればページをアップする寸前までヤマドリタケモドキにしていた。カサの色や表面の様子に違和感はあったものの、この管孔の白さは間違いないと思った。
 ところが柄の網目をよく見直すと、濃い褐色の地の全面に白っぽい網目が広がっている。これは「ススケ」の特徴だ。それならカサの色も合う。図鑑を確認すると管孔は初め類白色とある。
 とても新鮮なススケヤマドリタケだったのだ。ヤマドリタケと肩を並べる美味しさらしいから採ってくれば良かったと後の祭り。

 結局、今回のMVPは3種とも同じ日のもので、しかも3種ともイグチの仲間(ヒゴノセイタカイグチはオニイグチ科)だった。雨のタイミングが良くなかった結果だろう。戻る

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