シリーズ <第74回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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カサヒダタケ
(カサ径 約2センチ)
2009.9.11
青森県十和田市・蔦温泉
 きのこの中には一見しただけで名前の分かる個性的なものと、つかみ所のない没個性のタイプがある。カサヒダタケは前者の代表的なきのこだと言えるだろう。
 とは言ってもこのカサヒダタケ、なかなか本種らしいいい姿というのは見つからないもので、隆起したシワが乏しかったりカサが開きすぎていたりする。
 青森への遠征で訪れた「蔦の七沼」で、散策路脇に大きなブナの倒木があった。数種のきのこを撮影していて、倒木の下側に埋もれるように生えているのを見つけた。
 関東でも里山などで見られるきのこだが、これほどいい状態はとてもまれだ。カサの隆起はもちろん、周囲の条線や白いラインも鮮明だ。普通は灰色に見える柄も、光線の具合か青みがかって印象的だった。 戻る

ヒメスギタケ
(高さ 約1.5センチ)
2009.9.21
長野県小海町・松原湖周辺
 去年の「松原湖ツアー」で初めてツノシメジに出会うことができた。今年は参加者も増え日程も一泊多いプランにしたので、メンバーの心には当然、再会の期待があったに違いない。
 E氏が見つけた落ち枝に生える小さなきのこは一見してヒメスギタケだと分かったが、思いっきりクローズアップで撮っていると憧れのきのこに見えてくる。過剰願望による錯覚かと思ったが、改めて写真を見てもやはりツノシメジの幼菌にとてもよく似ている。
 大きさが全く違うことと、カサのささくれがあまりトゲ状になっていない点で見分けられる。カサが開いてしまえばヒダの色の違いで一目瞭然、ツノシメジは真っ白で本種は褐色なので見分けは簡単だ。
 みんなの願いが通じて今回はツノシメジの幼菌に会うことができた。  戻る

ツキヨタケ
(カサ径 約5センチ)
2009.9.27
静岡県富士宮市・富士山南麓
 嫌われ者はナントカ・・・というように、ブナ帯を歩くとたびたびツキヨタケの大きな群生に出くわす。確かにシイタケやムキタケに似ているようなものもあり、中毒が多いこともうなづける。
 きれいな群生を見つけると「発光写真」を撮りたい気持ちが湧いてくるが、夜間にブナの森を独りで歩く勇気は湧いてこない。
 そこで今回初めて、採取したものを撮影してみることにした。持ち帰って霧を吹きかけ暗闇の中で見てみると、目が慣れるにつれてぼんやりと発光が見えてくる。
 三脚でしっかり構えていろいろ試し撮りをするうちに、50ミリマクロで、ISO200、F3.5にしてバルブ撮影で4分露光がちょうど良かった。今のカメラはかつての簡素なレリーズが使えなくなり、長時間露光がやりづらい。  戻る

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