シリーズ <第75回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ナヨタケ属
(カサ径 約2.5センチ)
2009.10.11
神奈川県横浜市・寺家
 褐色地に淡い赤紫を帯びた高さ5センチあまりのきのこを見つけたが、見覚えがなくて名前が分からない。ルーペでヒダを見ると紫色の縁取りがあり、黒い胞子がたくさん付いていることが分かった。
 恐らくナヨタケ属のきのこだろうと思い、ヒダの様子を撮影しようとした時、逆光気味になってヒダが透けて見えた。
 その美しい青さに息を呑んだ。肉眼ではこうもはっきり見えなかったが、デジカメは見事にこの青を捉えてくれた。
 カサの上からチラッと見ただけでは発見できない、とても神秘的で驚きの一面を見ることができた。はたして、こんな特徴のナヨタケ属は名前が付いているのだろうか。同定の極めて難しいグループだけに、より一層不思議さを感じるヒダの色だ。 戻る

モリノコフクロタケ
(カサ径 約2センチ)
2009.10.17
静岡県伊豆の国市・浮橋
 初めて訪れた伊豆半島の森林公園。小川を挟んで広がるなだらかな公園で、うまく自然を残して整備されている。
 あいにくこの日は被写体が少なく、一回りして物足りない気持ちで車に戻った。もう少し付近を歩いてみることにしたその時、足元の苔の上に小型の白いきのこを見つけた。
 しゃがんで柄を覗き込むと、なんと根元にツボが見えるではないか。見たいと思っていたモリノコフクロタケだった。
 カサには絹状光沢のある細かなササクレが広がり、ルーペで見るとほれぼれするほど美しい。
 しかし、こんな所にポツンと生えるようでは、探して見つかるきのこではないなぁ・・・と思った。ぜひまた、季節に訪れて再会を果たしたい種類だ。  戻る

ヤマブシタケ
(直径 約5センチ)
2009.10.25
神奈川県平塚市・高麗山
 修験道の行者、山伏の装束に結袈裟(ゆいげさ)というのがあり、胸元の左右に2個ずつ、背中に2個の丸い房を付ける。その房に形が似ているのでこの名前が付けられた。
 その名前のイメージだけでなく、ブナやミズナラなどの朽ちた材上に生えることから、寒冷地や標高の高い森で見られるきのこだと思っていた。
 真っ白い長い針が丸い房になる美しい姿をいつか見たいとあこがれていた種類だが、それをまさか海沿いの低地で見るとは思ってもみなかった。「そんなはずはない」と思いながらも、やはりこれはヤマブシタケだ。
 初めて見た喜びはもちろんあるが、やはりいつかは真っ白な大きい房を見つけたい。
 「ボケ防止」に効くらしいので湯がいて刺身風にして食べたが、歯切れのいい食感だった。効き目は不明だ。  戻る

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