シリーズ <第76回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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マムシフウセンタケ
(高さ(左) 約8センチ)
2009.11.7
山梨県富士河口湖町・西湖
 なんとも恐ろしげな名前で印象に残っていたが、これを見つけた時はまだ幼菌のせいか穏やかな雰囲気だった。成長するにつれて柄の段だら模様が、隆起した不規則な帯状になる。その様子が「まむし」の鎖模様を連想させるのだろうか。
 特にニオイや味に目立った特長がなかったが、食毒は不明のようだ。
 ツバアブラシメジもよく似たスタイルらしいがそれは針葉樹林に生えるようで、本種は広葉樹林に生える点で見分けられる。もう1点、本種の幼菌ではヒダの色が紫色を帯びることが記されている。確かに写真の右の幼菌のヒダにその特徴が見られた。
 きのこ不作の中、この日はこれの他にも初めて見る種類がいくつかあり、手応えのある探索になった。  戻る

ベニヒダタケ
(高さ 約6センチ)
2009.11.8
神奈川県平塚市・高麗山
 「え〜っと、ヒイロベニヒダタケのヒイロじゃないヤツ」・・・というような調子でこの名前を思い出す。「ベニヒダ」とはヒダがピンク色を帯びることを指しているので、この鮮やかな山吹色のカサから名前に結びつかない。
 しかし、写真の被写体としてはとても華やかで、先のヒイロベニヒダタケに負けず劣らずいいモデルとなってくれる。かなり腐朽の進んだ広葉樹に並んで生えていると、遠目にもその華やかさが見て取れる。
 この日のようにたった1本では少々物足りなさも感じるが、それでも他のきのこには見られない華やかさがあり、その存在感は1本といえども衰えるものではない。
 残念なことにカサの一部が欠けていたので、おのずと構図が制限されてしまったが、それでも何度もアングルを変えてシャッターを切った。  戻る

シワタケ
(カサ幅 約4センチ)
2009.11.22
神奈川県相模原市・木もれびの森
 かな4文字名のきのこはたくさんある。中でも「タケ」の付く種類は、古くから人々に親しまれ、暮らしに溶け込んだきのこに違いない。マツタケに始まりシイタケやヒラタケ、ナラタケ・・・などなどとても馴染み深いものばかりだ。
 ところが、このシワタケはどうだろう。恐らく多くの人が存在を知らないだろうし、日々の暮らしにも無関係だ。にもかかわらず堂々たる4文字名を冠している。
 そのきのこのイメージを連想させる最適な名前を付けるのはなかなか難しいに違いないが、だからと言って舌を噛みそうな、まるで呪文のような長い名前も困ったものだ。
 裏側がシワ状になっているのでシワタケ。こういうストレートで端正な名前がとても好ましい。  戻る

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