シリーズ <第78回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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センボンクヌギタケ
2010年1月2日(土)

霧降の滝

神奈川県平塚市
 新年早々「千本」に会えるとは、何とも幸先のいいスタートになった。
 冬になってもきのこ撮影を続けるという「奇怪」な暮らしぶりは、自分を客観的に見つめても奇妙なものを感じる。「他にすることがないのか?」・・・そう、ないのかも知れない。
 今年も相変わらず同じペースできのこを求めて歩き始めたのはいいけれど、昨年の「きのこ不況」のまま冬枯れになってしまったので、全くと言っていいほど被写体がない。どうなることやら・・・と嘆いていたら、沢沿いに積まれた倒木にセンボンクヌギタケが群生していた。
 もっとも、この場所では過去に何度も群生を見ているので、そう驚くことではないが、だからと言っていつもいい状態に出会うとは限らない。
 素直に「幸先の良さ」を喜ぼう。  戻る
 
カワラタケ  黒や灰色、青や褐色と、カサの色に変化の多いカワラタケ。そのため、極めて平凡な種類でありながら、うっかり同定を間違えることもある。
 そんなカワラタケでも緑色というのは初めて見た。もっともこれは厳密に言えばカサの色ではない。表面に密生する毛に緑藻類が発生しているのだ。そのため、毛のない環紋のところでは本来のカサの色が、白や青のラインとなって見えている。
 毎月恒例の定点観察も今の時季は内容に乏しく、楽しさも半減してしまうが、この日は新年の挨拶、顔合わせの意味もあって、ほぼフルメンバーが顔をそろえる。
 かと言って「新年の祝宴」でもやろうかという気配もなく、いつも通りの観察会が始まる。「今年は本当にきのこがないなぁ・・・」と口々に嘆く。これもまた楽しいのだと、奇妙な集団は意気軒昂だ。  戻る
2010年1月10日(日)

新治市民の森

神奈川県横浜市

ダイダイサカズキタケ  白い柄の先にじょうご型にカサを開いているので、まるで花のような姿に見える。本来はもう少し黄色みのあるオレンジ色だが、やや萎れかけて赤みが強い。
 秋も深まる11月ごろ、高麗山のあちこちで姿を見せる種類で、他の場所では見たことがない「特産品」だ。時にはカサの直径が5〜6センチにもなるが、普通はあまり大きくならないようだ。
 そして冬になれば見られなくなるのだと思っていたが、こうして乾燥した冬でもしっかり生えている。見かけによらずたくましい種類なのだと、認識を新たにした。いつもなら、いくらきのこがなくても何か極小菌を見つけて写真を撮るのだが、今年はそれもままならない「大凶作」のピンチ。
 その意味からも本種のたくましさが伺える。なかなか頼もしい「特産品」なのだ。  戻る
2010年1月17日(日)

高麗山

神奈川県平塚市

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