シリーズ <第79回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヒメムキタケ  高麗山の北麓に「ケヤキの広場」というちょっと開けた場所があり、名前の通り大きなケヤキがいくつも立っている。いつだったかその1本が台風で折れたようで、安全のためいくつかに伐採されていた。
 最近になってその材上にいろんなきのこが出始めた。と言っても今のところほとんどが硬質菌だが、この日はそこに小さなヒメムキタケが生えているのを見つけた。カサの上層が透明なゼラチン質なので、ローアングルで見ると縁の部分にガラスのような層が見える。名前にムキタケが付くが分類的にはツチヒラタケなどに近く、毒はなさそうだが小さくて食用価値は低い。
 ヒダが白くてとても密なので、日に透けるとややピンク色を帯びて美しい。小型ながら写真映えのする種類だと思う。  戻る
2010年2月14日(日)

高麗山

神奈川県平塚市

ニクウスバタケ
2010年2月27日(土)

泉の森公園

神奈川県大和市
 クヌギかクリだろうか、朽ちた切り株に苔が生えて、そのゴツゴツした樹皮の窪みを縫うように朱色のきのこが広がっている。
 硬質菌には木にべったり背着するものやしっかりカサを作るものがあり、その両方の姿を見せるものも多い。
 このニクウスバタケもこうしてカサだけの生え方や、半背着の広がり方をするときもある。
 第一印象で見分けるポイントはもちろんこの鮮やかな色だが、もう一つカサの両端が少し跳ね上がるような姿になることが多い。たくさんのカサが重生していると、より顕著に見ることができる。
 そして近くで詳しく観察すると、名前のウスバ(薄刃)どおり独特のヒダが見える。
 硬質菌では少数派の華やかさのあるきのこだ。  戻る
 
クヌギタケ属
2010年2月28日(日)

高麗山

神奈川県平塚市
 2日ほど前の天気予報では確か、朝から晴れて暖かそうだった。ところが用意をしてドアを開けると、冷たい雨が降っている。「話が違う・・・」と文句を言っても仕方がない。仕切りなおしだ。
 昼になって雨が止んだので湘南平へ登ってしばらく歩いたが、被写体になるのは硬質菌ばかりだった。
 だいぶ日が長くなっているのでちょっとだけ地獄沢も覗いてみた。
 やっとここで瑞々しいきのこを見つけた。枯葉の間から長い柄を伸ばし、小さなカサを広げている。黄色いカサに褐色の条線が見えるのでナメアシタケかと思ったが、これだけ湿度が高くても柄にヌメリがない。きのこを同定する時によく耳にする「近縁の別種」というヤツだ。種名はともかく、久々に出合った目新しい種類だ。「春は近いのか?」と、思わずきのこに尋ねてみた。 戻る

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