シリーズ <第80回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ホウロクタケ
2010年3月7日(日)

新治市民の森

神奈川県横浜市
 いつ頃からかこの池を「大正池」と呼ぶようになった。もちろん正式な名前は付いていると思うが、池の中にハンノキの立枯れた樹が何本も立っている情景は、かの上高地の池を彷彿とさせるものがある。
 そしてここには「水辺の宝石」カワセミも棲み、バードウォッチャーの格好の撮影ポイントにもなっている。
 いつもは撮影の邪魔をしないように声を潜めて足早に通り過ぎる場所だが、さすがにこの日の冷たい雨では誰も来ていなかった。
 だいたいこんな寒い雨の日に自然観察をするグループは、常軌を逸しているとしか思えない。その一員でいることにはちょっと喜びも感じる。
 悪天候のせいで陰気な写真になったが、この時の冷たさ、寒さ、そして、あきれるほどの変人ぶりが、身震いとともに蘇えるシーンだ。 戻る
 
フデタケ
2010年3月14日(日)

藤沢・少年の森公園

神奈川県藤沢市
 「美しければ種類は問わない」というのが一つの撮影コンセプトだが、これを「美しい」と見るかどうかは意見の分かれるところだろう。
 しかし、本当に被写体がなかったこの日は、これをとても美しいと感じ、とても嬉しく思った。
 朽ちた木から細い柄を伸ばし、途中から太くなってごつごつといびつに伸びる。先端は名前の「筆茸」よろしく急に細くなって尖る。
 やや熱帯系の種類のようで、絶滅危惧種の指定も受けているらしい。
 あまり見かけない種類なので、これが新鮮な状態なのかどうか分からないが、本種でなければ得られないであろう面白い構図を決めることができた。いかにもその種類らしい表情を捉えた、きのこのポートレートとして、とても満足のいく一枚になった。  戻る


コマヤマナラタケ(仮)  まるでキツブナラタケのような色の幼菌が数ヵ所に生えていた。ただし、高さが1〜2センチとかなり小さい。これがコマヤマナラタケと仮称されている種類で、名前の通り高麗山以外では見たことがない。
 最も際立った特徴は、ツバの周囲にまるでオニナラタケのような黒っぽい鱗片が残ること。もう一つはカサの全面に鱗片が広がること。普通のナラタケに比べて小型であり、あまり群生もしないようなので、狩りの対象としては物足りないだろう。
 ひとくくりにされていたかつてのナラタケが、数年前に10種ほどに分けられた。あまりにもわずかな違いで細分化されるのは考えものだが、こうして狭い範囲の地方にも「地場もの」のナラタケがあるのかも知れない。味も姿も地方色豊かな個性があって、特産品として注目されるのもきっと楽しいだろう。  戻る
2010年3月28日(日)

高麗山

神奈川県平塚市

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