シリーズ <第84回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

6月  MVPtop   8月

ヒメヌメリイグチ  今月いちばん初めに驚いたきのこ。名前が分からないまま撮影した後、採取してびっくり。なんと管孔を覆っている被膜が透明で、中の黄色い管孔がクッキリ見えているではないか。
 現地では生半可な知識が災いして、同定までに遠回りをしてしまったが、別の場所で見つけた成菌などを手掛かりにようやく本種にたどり着いた。
 しかし、図鑑を見てもネットで検索しても、透明の被膜には触れられてない。どうやら前日までの雨の影響で、ヌメリの強い被膜がたっぷりの水分を含んで、こんな不思議なシーンを見せてくれたのだろう。二度と見られない貴重な瞬間だったのかも知れない。  戻る
2010年7月4日(日)

新治市民の森

神奈川県横浜市

ツブエノウラベニイグチ  こんなきれいなピンク色のイグチがあっただろうか。モニターに現れた画像を見て、初めて見る種類だと分かった。ところが手持ちの図鑑を繰っても「ピンクのイグチ」など出てこない。
 そうこうしている内に、「新菌類図鑑U」の本種の柄がとても似ていることを見つけた。本文には「カサに繊維状の圧着した細鱗片を生じ・・・ややくすんだピンク色」とある。これだ!
 あとで他の図鑑にも載っていると分かったが、成長するとずいぶん様子が変わってしまうようで、カサにはツヤがあってオリーブ色を帯びてくる。
 今回の出会いはとても幸運だったようだ。  戻る
2010年7月19日(月・祝)

八菅山いこいの森

神奈川県愛川町

ヒイロチャヒラタケ  被写体も写真もいい状態ではないが、これは是非MVPに入れておきたい1種なのだ。2003年にこのコーナーを始めて2回目に登場して以来、7年ぶりの感動の再会となった「超珍菌」。
 今回のものは幅7ミリほどの小さなもので、まだカサを開いていなかったが、それでも何とかヒダの様子などは見える。
 なぜこれが珍しいかといえば、北海道以外で記録がないからだ。小さくて目に留まらない・・・とは、この色を見れば考えにくい。そして7年ぶりに再会したということは、ここ高麗山では定着した種類であり、猛暑の中で発生したのだから寒冷地のきのこでもなさそうだ。
 あとはもう少し大きく育ったものを、じっくり丁寧に撮影したいものだ。この次はまた7年後かも知れないのだから。戻る
2010年7月18日(日)

高麗山

神奈川県平塚市

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