シリーズ <第86回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ヤマブキハツ  久しぶりに富士山南麓の新五合目、標高2,400mあたりまで登った。カラマツの多い斜面を歩いていると、1本だけ生えている黄色いカサを見つけた。撮影をしている間ずっとウコンハツだと思っていたが、よく見ると柄が白い。するとこれはヤマブキハツということになる。
 やや標高の高い所や北日本でないと見られない種類で、爽やかな黄色いカサがとても美しい。
 せっかくこんなにきれいなきのこなのだから、薄汚れた砂地に生えていたのでは興ざめ。ちょっとした演出に苔をバックに入れてみた。しかし、妙に不自然に感じたので、それならいっそのこと全面を苔で囲ってしまおう・・・と、この写真が出来上がったことは、ナイショの話。  戻る
2010年9月5日(日)

富士山南麓

静岡県富士宮市

シダレハナビタケ  針先が全部上を向くフサタケ。逆にすべてが垂直に垂れ下がるサガリハリタケ。そのどちらとも全く違う。枝分かれした針先が緩やかなカーブを描いて、まさに「枝垂れる」様子はとても魅力的で、かねてから一度は見たいものだと思っていた。
 この数日前、地元高麗山でそれらしき幼菌を見つけて気になっていたこともあり、松原湖ツアーの初日には仲間とそんな話をしていた。
 まさしく「噂をすれば影」の通り、落ち枝に見つけた時は思わず声を上げた。写真は小さな幼菌をクローズアップしているが、「枝垂れ花火」とはまた見事な名前を付けたものだと感心する。ややまれな種類だけに魅力はことのほか高まる。  戻る
2010年9月26日(日)

松原湖畔

長野県小海町

ツノシメジ  その「松原湖ツアー」もすっかり恒例となったが、参加者全員が出会いを期待する種類がある。一昨年、昨年と続けて1本だけの小さなものを見つけたツノシメジだ。今年こそぜひ成菌を見たいものだと思っていた。
 探索場所の狙いは見事に的中して、いくつもの成菌や幼菌を見ることができた。そして最終日に訪れたポイントでは、本種のベストシーンとも言える2本並んだきれいなものに出会った。
 ローアングルで真っ白なヒダを撮りながら、ツノシメジは「3年がかりで卒業かな?」と思った。
 日本にもあると判明してまだ年数が浅いが、ずいぶん数が増えているように思う。カバノキに生える普通種になっていくのか。  戻る
2010年9月27日(月)

松原湖付近

長野県小海町

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