シリーズ <第88回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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チャツムタケ属?
2010年11月5日(金)

富士山南麓

静岡県富士宮市
 ここ何年も毎年のように「異常気象」という言葉を耳にする。特に強く感じるのは雨の降り方だ。梅雨にしても秋雨にしても、シトシトと長く降るということがほとんどない。
 この日の西臼塚も、台風の影響もあって集中豪雨の爪痕がひどかった。散策路の土が深くえぐり取られ、太い脇材がまるでハードルのように宙に残っていた。
 こんな状況では人間だけでなく、すべての生き物が戸惑うのも無理はなく、きのこも例外ではなかった。
 そんな中、やっと見つけた小さな材上生のきのこ。チャツムタケ属だと思うが種名は分からない。しっかりツバを持ち、大小2本の根元には産まれたばかりの赤子のような幼菌が、顔を覗かせていた。  戻る

ダイダイサカズキタケ  「珍種」の定義とはなんだろう。まず第一に、気候条件などが整わないと生えない「気難し屋」がある。したがって数年〜十数年に一度生えるかどうかという種類だ。
 一方、毎年生えるのだが地域が限られている種類もある。このダイダイサカズキタケがそのタイプで、今までこの高麗山以外では見たことがない。さらに、同じシーズンであっても、他のきのこ関連サイトで登場したのも見たことがない。「地域限定の特産品(?)」と言える種類なのだ。
 鮮やかなオレンジ色で、まるで朝顔の花のようにカサの中央が深く窪み、ヒダが長く垂生している。秋深くなって他のきのこが姿を見せなくなる頃に、シダの葉に隠れるように生えて撮影を楽しませてくれる「珍種」だ。  戻る
2010年11月21日(日)

高麗山

神奈川県平塚市

ニガクリタケ  紅葉が見ごろを迎えるころ、雑木林の中は落ち葉が一面に降り積もり、きのこを見つけることが容易ではなくなる。丁寧に視線を走らせながらふと遠くを見ると、針葉樹の切り株に黄色いカサが見えた。
 「ニガクリか?」と思いながら近づくと、カサの直径5センチほどもある。しかも柄が太くしっかりしているので、いつも見るニガクリタケとはイメージが違う。
 気になって調べると「新菌類図鑑」に「大きさや色、発生する樹種などの点でかなり異なったものが認められるが、ここでは本種として取り扱った。」という記述を見つけた。
 付近には普段見るサイズもあり同種でよさそうだが、猛毒だと分かっていてもなかなかおいしそうな外見だった。  戻る
2010年11月28日(日)

泉の森公園

神奈川県大和市

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