シリーズ <第89回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ウスバタケ属?
2011年1月23日(日)

矢田こどもの森

奈良県大和郡山市
 まる11年間、単身で過ごした関東を離れ、奈良県にある我が家へ帰ってきた。心機一転、奈良を中心にきのこ探索を始めたいところだが、この冬はことのほか寒気が厳しい。
 まずは、昔歩いたポイントの復習とばかりに懐かしい公園を訪ねた。見る見る記憶が蘇り出会ったきのこも思い出すのだが、しょせん季節が冬ではその気配すらない。
 細い小枝に半背着するきのこを見つけてルーペで覗くと、短い針が並んでいた。数種の候補が浮かんでは消えていく。「ええい、不明種だ!」
 針の様子からウスバタケ属かと思ったが自信はない。硬質菌の「謎解き」は難しい。  戻る

ヒロハノキカイガラタケ
2011年1月29日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
 マツの間伐材に生えた黄色いきのこ。見つけた時はネンドタケだろうと思ったが、ローアングルで構図を決めているとヒダが見える。
 「ありゃ、なんだこれ?」・・・図鑑を見てキカイガラタケだと分かる。初めて見る種類だ。
 しかし、ページを更新した後さらに調べてみると、奇妙なことが分かった。キカイガラタケは中部以北・山岳地帯にあり、中部以西・低地ではヒロハノキカイガラタケが多いというのだ。なんと、2冊の図鑑では同じ写真で種名が異なる。後発図鑑で改められたようだ。
 ヒダに分岐や乱れが少ない特徴からも、これは「ヒロハノ」にした方が良さそうだ。おかげで新たに2種を覚えることができた。  戻る
 
ヒメオツネンタケ  1月、奈良県に降った雨・雪は2ミリ以下。連日の乾燥注意報ではきのこが見つかるはずもなく、ダメモトと散歩に出かける。
 昔、犬の散歩で見つけた近所の雑木林は、タケが多く地面が固いので条件は良くない。それでも、他で見られない種類が出るかもしれないと期待を寄せている。
 苔の間から生えた1センチほどのきのこは、初めニッケイタケの幼菌だろうと思った。しかし、記憶の片隅にこんな姿を図鑑で見たような・・・と、確かめると載っていた。
 こんな季節でなかったらきっとやり過ごしていただろう、小さくて地味なきのこ。どんな種類であれ懸命に生えて、種をつないでいるのだ。  戻る
2011年1月30日(日)

近所の雑木林

奈良県奈良市

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