シリーズ <第97回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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セイタカイグチ
2011年9月7日(水)

矢田山へんろみち

奈良県大和郡山市
 きのこに興味を持ち始めた頃、図鑑で個性的な姿を見て、一度は見てみたいと思った。1997年8月、観光で訪れた山口県の岩国城で偶然見つけてコンパクトカメラで撮った。その1年後に同地を再訪して、スギの横に立つ2本を撮影することができた。
 広島にいた頃や地元関西では、さほど珍種という訳ではなく、低山や里山でもよく見かけていた。ところが11年間住んだ神奈川県では、一度も出会うことはなかった。2002年に新潟県長岡市での宿泊勉強会で、わずか1本を見ただけだ。
 そんな訳で、奈良に帰ってきた時に本種が見られると楽しみにしていた。
 「特筆すべき柄の歯応え」とか「中毒例あり」などと揺れているようだが、芸術的とも言える個性は揺るぎなく素晴らしい。  戻る

ハイイロオニタケ  「おおっ、ハイイロオニタケだ。やっと出会えた。」・・・見つけた時に確かそうつぶやいた。
 西日本に多いきのこらしいが、東に無いわけでもなさそうだ。図鑑や他のサイトで見ると、カサの様子が微妙に異なるものが見受けられる。新菌類図鑑を基にチェックポイントを挙げると、灰色の角錐形のイボが永続的に残り、柄にも灰色の鱗片が環状に付き、柄の根元が太くなり下へ向かって細くなり地中に伸びる。
 いつもならこの後、採取して、さらに切断して標本写真を撮っておくところだが、なぜか均整のとれた初見のきのこに、そのままにしておこうという気持ちになった。「きのこにこの次はない」と知ってはいるが、この次会った時にしようと思った。  戻る
2011年9月17日(土)

大阪市大附属植物園

大阪市交野市
 
未同定
2011年9月24日(土)

矢田山へんろ道

奈良県大和郡山市
 お約束通り、厳しかった残暑が秋の「彼岸」を境に消えた。そして、どうした訳か一緒にきのこも消えた。
 気候の急変に戸惑いながら様子見を決め込んでいると見るか、それとも、居心地のいい安定的な環境になったために、胞子を飛ばす必要に駆られていないと読むか。
 端境期に遭遇するたびに、きのこを予測することの難しさを思い知らされる。
 この日、ほとんど目ぼしい被写体に出会わないまま引き返す道で、この小型菌を見つけた。よく見る不明菌の一つだ。赤紫色のカサや柄に、淡褐色の綿毛状の鱗片が付く。
 ローアングルで構図を決めながら、「名前が分からなくても、こんな1枚が撮れればOK」と、今日の不満を少しだけ減らせた。  戻る

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