シリーズ <第98回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
<<<<< 2011年10月 >>>>>
MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

9月   MVPtop   11月

未同定  写真は目一杯の拡大をしているので、まず初めにサイズを明確にしておかなければいけない。カサの直径は5ミリほど。だから老眼の進んだ目ではよく見えず、ルーペを使ってびっくりした次第だ。
 長さが3〜4センチの黄色っぽい落ち葉から生えていて、付近にたくさん見つけられた。さらに、離れた場所でも同じ木と思われる落ち葉から生えていたので、どうやら葉の好みがあるようだ。木の種類は知識が乏しく、はっきりしない点は深く反省。※アセビと判明した。
 数年前にも富士山北麓の標高1,600m付近でも、よく似たきのこを見つけたが、それはもっと柄が長くて地面から生えていた。
 種名はもとより属名の見当もつかず、形態から見てアミヒカリタケ属になるのか、生え方から見てホウライタケ属に近いのか・・・。ひょっとして光ったりするかも知れない。  戻る
2011年10月15日(土)

神野山

奈良県山添村

チヂレタケ  まさしく「枯れ木に花が咲いた」ような、華やかさのあるきのこだ。ところがこのチヂレタケ、生えている所を上から見ただけでは、極めて地味な目立たない小型菌だ。広葉樹の落ち枝などに小さな褐色のカサを並べているが、枝を持ち上げてクルッと裏返してみると歓声を上げること請け合いだ。
 本種に関しては不思議に思っていることが二つある。まず一つは分類に関してで、これだけたくさんカサを作っていて背着している部分などほとんどないのに、なぜかウロコタケ科になっていること。
 もう一つは、高い山でも平地の公園や里山でも、どこでも見られる平凡な種類だと思うのに、「新菌類図鑑」や「北陸のきのこ図鑑」などの大きな図鑑にも載ってないこと。小さいからパス?そんなはずはない。  戻る
2011年10月16日(日)

大和葛城山

奈良県御所市
 
ムツノウラベニタケ  これを見て「とても美しい」と感じた私は、どこか感性がおかしいのだろうか。でもやはり、これは美しい。
 当日の「きのこ探して」には、「年老いた漁師や農夫の顔に深く刻まれた、過酷な労働に耐えた証にも似ている」と書いた。実は「象の脚」というイメージも浮かんだのだが、両者を比べてはるかに「詩的」な方を選んだ。
 11年間を過ごした神奈川県とその周辺では、一度も出会わなかったきのこだが、関西に帰ってきてからは方々の公園や山で見かける。分布域として「西高東低」の傾向が見られるようだが、名前の「ムツ」は東北の青森県だから一概には言えない。
 見たいと思っていた種類に会えたこと。そしてそれが思いのほか美しいと感じたこと。とても嬉しいことだ。  戻る
2011年10月23日(日)

大和民俗公園

奈良県大和郡山市

9月   MVPtop   11月