シリーズ <第101回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ワヒダタケ  かなり昔のこと、群生するワヒダタケにレフ板の光を強く当てて撮ったところ、ヒダの部分が真っ白に飛んでしまったことがある。その時は、どうしてそうなったのか訳が分からなかったが、その後何度か同じような経験をして、やっと新鮮な本種のヒダが光を強く跳ね返す時があることを知った。
 とは言っても、なかなか新鮮な状態に出会わないのが「きのこの常」で、最近ではそんなことも記憶の片隅に追いやられてしまっていた。
 この日見つけた本種のカサはどれも小型だったが、二日前の小雨を受けてとても新鮮な状態だった。そして、レフ板を使いながらそのことを思い出し、「らしさ」の手応えを感じる写真が撮れた。  戻る
2012年1月4日(水)

矢田へんろ道

奈良県大和郡山市

シカタケ
2012年1月28日(土)

矢田山子どもの森

奈良県大和郡山市
 大きなコナラの倒木に、幅の狭い地味な硬質菌のカサを見つけた。その乾いたフェルト状の灰色のカサに見覚えがあったので、裏側を覗き込んでみた。予想した通り、それはシカタケだった。
 ただ、その背着した広がり方の面積は、予想をはるかに上回るものだった。まるで、大きな鍾乳洞の天井や壁を見ているような錯覚すら感じてしまうほど、スケールの大きなものに見えた。
 シカタケという名前はウラベニガサの別名としても知られているが、標準的な和名としては本種に当てられている。はたして漢字は「鹿茸」なのだろうか。両方のきのことも、あまり鹿を連想させる姿には思えないが、語源のいきさつも知りたいものだ。
 写真のものは縦の長さが8センチほどだった。  戻る
 
センボンクヌギタケ
2012年1月29日(日)

かいがけ道

大阪府交野市
 ずいぶん暖かそうなボアのソックスを履いているなぁ。思わずそうつぶやいてしまうほど、白い密毛を柄にまとっている。この日は、時どき粉雪が舞うほど寒かったので、なおのことそう感じたのだろう。
 冬枯れの山での観察会は、いくら優れたきのこ目のメンバーでも、干からびた硬質菌くらいしか見つからない。こんな時こそ硬質菌を覚えるいいチャンスだと、プラス思考になっては見るものの、やはり撮影の物足りなさは否めない。
 すると、メンバーの願い・・・いや、執念とも言えるものが、とてもきれいなセンボンクヌギタケを見つけた。まさに一球入魂の精神で、あらゆるアングルから構図を決めた。
 超ローアングルから目一杯の近接撮影で、いい表情を捉えられた。  戻る

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