シリーズ <第104回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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ニクウスバタケ
2012年4月1日(日)

ふれあいの森

大阪府四条畷市
 失礼だとは思いながらも何度もカサの下面の薄刃を確かめた。本種がこれほどきれいにカサを広げている姿は、それまで見たことがなかったからだ。
 急な砂地斜面に立つ高木の、地上1.8メートルほどの所に生えていた。初めは正面から、次に向かって右側から、続いて左側に来てこのバランスのいい構図を見つけた。
 その間、三脚も自分の足もズルズルと滑り落ちて、この1種の撮影だけですっかり疲れてしまった。
 初めの数カットはレフ板を効かせ過ぎて、薄刃の面が白っぽくなった。レフ板を持つ手の距離を調整しながら、ちょうどいい明るさのところを探す。雲が風に乗って速く動くので、カサの上の面の明るさもころころ変わる。雲が切れて薄日が差したタイミングで、「エイッ」とシャッターを切った。 戻る

ワサビタケ
2012年4月14日(土)

けいはんな記念公園

京都府精華町
 去年、この公園で撮った大きなワサビタケをMVPに選んだのは、2ヵ月も早い2月だった。やはり今年のきのこはだいぶ遅れている。
 今回は直径10センチ余りのコナラの切り株に、きれいに弧を描いて生えていた。カサの幅は1.5センチほどで、表面の白い鱗片がよく揃っていてとてもいい表情だった。
 初めは横位置に構図を決めて切り株を正面から撮ったが、もっと鱗片の表情を描写したいと思い、いろいろアングルを探すうちに縦位置で近接撮影をする構図を見つけた。
 目いっぱい近づいて撮りながら、それでも上下に全景を捉えるには、やはり魚眼レンズを使うしかない。やや絞りを開いて被写界深度を浅くして、立体感を強く出してみた。
 この公園のワサビタケは元気がいい。  戻る
 
ピンタケ  童謡「春の小川」のような「さらさら」とはちょっと違って、チョロチョロと聞こえる小さなせせらぎ。水流の速い段差の所に落ちた朽木に、鮮やかな黄色の粒をたくさん見付けた。探していたカンムリタケとは形が違うので、すぐにピンタケだと「ピン」ときた・・・?
 初めて見る種類だったので、三脚を流れに立ててしっかり構えた。粒のサイズは2〜5ミリ。短い柄で朽ちた木から生えている。
 それにしても、どうしてこんな場所に生えるのだろう。ここで胞子を飛ばしても水に流されてしまうだけで、子孫を残すには不利ではないのか。それとも、流れに落ちた木こそが「安住の地」なのだろうか。考えてみれば少々の日照りが続いても、常に湿潤であることは確かだ。乾燥に弱い菌が取った、賢い生き残り作戦かも知れない。  戻る
2012年4月29日(日)
コウノヤマ
神野山

奈良県山添村

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