シリーズ <第105回>


竹 しんじ
自選  《月間MV展》
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MONTHLY MOST VALUABLE PHOTO

1ヵ月ごとの「きのこ探して」の中で、印象に残ったものを自選してみました。

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スジオチバタケ  GWに観光名所へ行くことなど、きのこ撮影が目的なら考えられない行動だ。朝から雨模様だったことで、魔が差したとでもいうのか、みんな敬遠するに違いないと思ってしまった。散策路の狭い所では譲り合って通るほどの往復行列になっていた。
 幸い、脇道を見付けたのでそちらへ進んで行ったら、峠付近でスジオチバタケの群生を見つけた。この日は数ヵ所で、本種のきれいな姿を見ることができた。この写真は、脇道から戻って散策路を歩いていて見つけたもので、雨で色鮮やかになった草の間に数本生えていた。直径は1.5センチほどだった。
 ホウライタケ属の中でも格別の「趣き」のあるきのこで、カサの溝に沿って広がる紫色は「風情」とさえ感じる。その色を捉えようと、真上から撮ってみた。  戻る
2012年5月4日(金・祝)
アカメ シジュウハチタキ
赤目四十八滝

三重県名張市

ウスヒラタケ
2012年5月26日(土)
コウノヤマ
神野山

奈良県山添村
 この山でウスヒラタケを見るのは初めてだ。沢に倒れこんだ広葉樹の上に並んだ、やや紫色を帯びた淡い灰色のカサが美しい。
 沢沿いの散策路から見つけた時は、つい「おっ、ヒラタケだ」と声に出た。しかし、カサの色合いや厚み、さらには季節も考慮に入れると、ウスヒラタケと同定する方が妥当だ。
 前日の弱い雨が、新緑の葉を一層瑞々しくしてくれたので、直射日光を遮らずに撮ってみた。幸い日差しがあまり強くなくて、レフ板とのバランスが取りやすかった。
 名前の「ウス」は色の薄さか、カサの厚みの薄さかで迷ったことがある。本種の場合は色の薄さだと聞いたが、どちらも当てはまるので悩ましいところだ。「ウス」の付く他種を見てみるとほとんどが色合いだが、「薄刃」というヒダの様子を表す種類もある。悩ましい。  戻る
 
マツオウジ  大きなマツの切り株の、向こう側の端にとても行儀よく(?)並んで立っていた。今月はすでに何度もマツオウジを登場させていたので、内心「またか?」と思いながらも、やはりこうやってポーズを決められると撮らないわけにはいかない。
 もう何年も前になるが、本種の柄の歯ごたえを活かそうと、「永谷園の松茸のお吸い物」の具に使ったことがある。香りの松茸と歯ごたえのマツオウジの「いいとこ取り」を狙ったが、結果は香りもマツオウジが勝ってしまい美味しくなかった。人によって中毒もあるようなので、あえて挑戦する価値のあるきのこではなさそうだ。
 結局この翌日も大きなマツオウジを見つけて、今月だけで5回も登場させてしまった。なるべく同じ種が続かないようにしているが、ネタがなくてはどうしようもない。  戻る
2012年5月26日(土)
コウノヤマ
神野山

奈良県山添村

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